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[コラム]米日経済戦争と米中覇権戦争

登録:2021-04-28 20:36 修正:2021-04-29 08:56
イラスト//ハンギョレ新聞社

 米国に初めて進出した韓国の自動車は、現代自動車の小型車エクセルだ。1986年、輸出初年度に17万台を販売する大ヒットを記録した。この「エクセル神話」が、米日貿易摩擦の「漁夫の利」効果だったことを記憶する人は多くないようだ。

 米日貿易摩擦が終わり20年余りたって米中貿易摩擦が勃発した。経済強国間の戦争は、貿易依存度が高い韓国に大きな影響を及ぼさざるをえない。韓国の輸出に中国と米国の市場が占める割合はそれぞれ25.8%、14.4%(2020年基準)で、1・2位を占める。ともすれば韓国が「強者の争いでとばっちりを受ける」かも知れないという危機感が大きい理由だ。サムスン電子のイ・ジェヨン副会長の赦免論が、大統領府の否定により沈静化したものの、一時急浮上した背景でもある。

 韓国としては、米国の意図、中国の対応、自らの条件などを総合して細かく戦略を立てるべきだが、米日貿易摩擦での日本の対応を参考にすれば役に立ちそうだ。米日貿易摩擦は1960年代に始まり1980~1990年代に頂点に達した。日本は1950年代後半から急成長し、米国のグローバル経済覇権を脅かした。「第2の真珠湾襲撃」だった。

 自動車が代表的だ。優れた「費用対効果」を前面に出した日本車の攻勢に、米国の企業らは対応できなかった。米国の対日貿易赤字の半分以上が自動車から発生するほどだった。米国が報復関税などの通商圧力で対応すると、日本は1981年に対米輸出物量を減らす内容の「米日自動車協定」を結んだ。その後、日本の企業は米国現地生産を増やし、主力輸出車種を中小型からレクサスのような高級型に切り替えた。韓国のエクセルがその空いた部分を占めた。

 1980年代中盤、米日半導体摩擦が火花を散らした。日本の総攻勢に押され、インテルがDRAMで白旗を揚げた。米国は、未来先端産業の中心である半導体の主導権を奪われないために通商圧力を加えた。日本は1986年に米国と「半導体協定」を結び、自国市場の最小20%を外国企業に譲歩するなどの約束をした。日本の半導体は、その後下り坂を歩んだ。韓国がメモリー半導体1位に上がれたのは、このことを切り離して考えることはできない。代わりに日本は韓国が半導体を生産する上で必ず必要な設備と材料を供給する側に旋回した。

 米日貿易摩擦は経済主導権をめぐる戦いだった。米中摩擦は経済を越えた覇権戦争の性格が濃厚だ。金融研究院のチ・マンス博士は「経済に限定されない外交・軍事・社会・技術・文化を総動員する総合的体制競争」と話す。日本は米国に適当に譲歩して生き残る生存戦略を駆使した。一方、中国が自らひざまずくことは想像できない。米中摩擦の強度が、米日の時よりはるかに激烈である可能性が大きい。米国は中国の主要産業全般を狙っている。半導体摩擦はその開始にすぎない。米日貿易摩擦は30年以上続いた。米中摩擦はそれ以上の長期戦になるかもしれない。

 韓国は米日貿易摩擦で漁夫の利を得た。米中摩擦ではどんな戦略を取るべきだろうか。

クァク・ジョンス論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/993025.html韓国語原文入力:2021-04-28 18:46
訳J.S

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