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[寄稿]ミャンマーの砲弾工場は誰が造ったのか

登録:2021-03-30 06:21 修正:2021-03-30 07:55
チョン・ウンギョン|参与連帯活動家

 14歳の少年に続き7歳の少女がミャンマー軍の銃に撃たれ死亡した。民家に押し掛けた軍は家にデモ隊を隠したのか追及し、父親に抱かれていた幼い娘に銃を向けた。23日のことだ。前日には、ミャンマー軍部の残虐な虐殺と拷問を逃れたロヒンギャ難民が留まっているバングラデシュの難民キャンプで大きな火災が発生し、少なくとも15人が死亡、400人ほどは生死が確認されていない。約4万5千人のロヒンギャ難民は再び街頭に追い出された。亡くなった7歳の少女が着ていたミッキーマウスのズボン、灰に変わり廃墟になったキャンプの全景が頭の中から離れない。私はリアルタイムで伝わるニュースに無力感を感じている。

 そんななか、15年前の記事が目に入った。2006年12月、検察はミャンマーに砲弾の生産設備と技術資料などを違法に輸出した疑い(旧対外貿易法違反など)で、大宇インターナショナルなどの韓国の大企業と防衛産業業者を在宅起訴した。彼らは2002~2006年、ミャンマーに105ミリメートル曲射砲用の高性能爆弾など6種類の砲弾を数万発ずつ生産可能な工場設備と機械、技術資料を輸出したという。工場を建ててやり、砲弾の製造・検査装置を合わせて480種類ほど輸出したのに続き、技術者を送り国防科学研究所の砲弾製造技術まで渡したという疑惑もかけられた。記事によれば、ミャンマーは1996年に韓国が加入したワッセナー・アレンジメントにより防衛産業の物資輸出が厳格に統制された国家だったにもかかわらず、彼らは摘発を逃れるため偽装した契約書を作成し、産業用機械を輸出したかのように装ったとされている。技術移転の対価である技術資料および技術サービス代金も、職員の個人口座で受け取った。契約金は1億3300万ドル、韓国ウォンで1400億ウォン(約136億円)だった。ところが、このような大胆かつ反人道的な犯罪を犯した者たちに下された判決は、執行猶予とせいぜい罰金が数百、数千万ウォンに過ぎなかった。

 ミャンマーのピイ(プローム)地方に建てられたという砲弾工場で、これまでにどれほど多くの砲弾が生産されたのかを知る術はない。当時移転された技術で、これまでにどのような武器が開発され生産されたのかも分からない。当時の判決文で確認できるのは、砲弾工場で砲弾信管用の火薬容器であるカップ(CUP)8種類と砲弾の部品である弾体などが試作生産され、ミャンマーの技術者に弾体製造技術が移転されたという明らかな事実だ。そこで作られた砲弾が、ミャンマー軍部のクーデターに反対し民主主義を熱望する無実の市民に向かっており、また、その武器が数万人のロヒンギャ族を虐殺するのに使われたのかもしれないと考えると、目を開くこともできない。

 国連を始めとする国際社会は、ジェノサイドと戦争犯罪を犯したミャンマー軍部所有のミャンマー・エコノミック・コーポレーション(MEC)およびミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)と共同投資を行いミャンマー軍部の金脈の役割を果たしている韓国企業に注目している。ミャンマーから伝わる残念なニュースに多くの市民が支持と連帯を送っている現在、肝心の企業は砲弾工場と技術を輸出した当時と今も変わっていないようにみえる。営業利益は放棄できず、国境の向こう側の民主主義と人権の問題は関心事ではない。企業は、過去の砲弾輸出のように、現在の企業活動が未来にどのような結果をもたらすのかを考え行動しなければならない。人、平和、共存繁栄の新南方政策を唱えた文在寅(ムン・ジェイン)政権も、政府レベルの対応に留めるのではなく、韓国企業が国際基準に従うよう管理する責任がある。今日もミャンマーでは数十人が負傷し死んでいっている。韓国企業と政府の変化と具体的な行動が今必要だ。2年前に韓国を訪問したミャンマーの活動家は「単純な同情や憐憫ではなく、韓国企業がジェノサイドに寄与しているということを知らぬ振りをしないでほしい」と述べた。 私たちは、この話をこれ以上知らぬ振りをしてはならない。

//ハンギョレ新聞社

チョン・ウンギョン|参与連帯活動家 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/because/988691.html韓国語原文入力:2021-03-30 02:40
訳M.S

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