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[社説]北朝鮮はミサイル発射で緊張を高めるべきではない

登録:2020-03-03 07:05 修正:2020-03-03 07:55
北朝鮮が金正恩国務委員長の指導のもと、超大型放射砲の連発発射実験を行ったと朝鮮中央通信が昨年11月29日付で報じた。写真は朝鮮中央通信のホームページに公開されたもので、車輪型移動式発射台(TEL)の上に4本の発射管のうち1本から飛翔体が炎と共に上昇している//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が2日、元山(ウォンサン)近くで短距離ミサイルと推定される飛翔体2発を発射した。北朝鮮のミサイル発射は昨年11月28日以降95日ぶりのことで、今年に入っては初めてだ。これは朝鮮半島の軍事的緊張を高め、安定を害する危険な挑発だ。特に、国中が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で混乱している隙を狙ってこのような武力誇示を強行したのは非常に残念だ。自重してもらいたい。

 合同参謀本部の発表によると、同日昼、元山近くで東海北東方向に向かって発射された飛翔体は高度35キロメートルまで上昇し、240キロメートルを飛行した。北朝鮮が昨年2月末、ハノイの朝米首脳会談の決裂以降、しばしば発射した新型放射砲や戦術地対地ミサイルなどと推定される。米国など国際社会で大きく問題視しない短距離ミサイルだが、事実上「いかなる種類の弾道ミサイル発射も禁止」した国連安保理決議違反という点には変わりがない。大統領府は緊急関係省庁長官会議を開き、「朝鮮半島の緊張緩和に向けた努力に背く」として、挑発の中断を強く求めた。

 今回の発射は、東北アジア全体がCOVID-19の退治と防疫に全力を傾けている厳しい時期に行われたという点で、さらに問題がある。これと関連し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は三一節記念演説で、南北間の「保健分野の協力」と「感染病の拡大への共同対応」などを提案した状況だった。にもかかわらず、北朝鮮がその翌日に挑発に出たのは、ただでさえ困難な南北関係をさらに困難にする余地が多い。

 韓米軍当局が当初、今月初めに予定されていた合同軍事演習を延期し、一部では事実上中止したという見通しが示されている状況で、ミサイル発射が行われた点も遺憾だ。このような調整は本来COVID-19の軍内部拡散を防ぐために行われたものだが、北朝鮮の演習中止の要求をある程度受け入れた側面もあるためだ。

 金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は昨年末、労働党中央委全員会議で、「世界は新しい戦略兵器を目撃することになるだろう」と脅しをかけた。にもかかわらず、今回の挑発が戦略兵器とは程遠い短距離ミサイル発射にとどまった点は注目に値する。北朝鮮の意図が朝米対話の枠組みを壊すよりも、米国の決断を圧迫する方向に重きを置いたものとみられるからだ。北朝鮮のミサイル発射は非難されて当然だが、ドナルド・トランプ政府も年末の大統領選挙を口実に現状維持に力を入れるのではなく、現実的な協議案を作成し、朝米対話に乗り出すことを望む。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/930762.html韓国語原文入力:2020-03-02 19:03
訳H.J

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