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[コラム]「ムンパ叩き」、“文派”のための弁明

登録:2020-02-24 05:58 修正:2020-02-24 08:17
去年10月3日、ソウル光化門広場にて自由韓国党主催で開かれた「文在寅政権の憲政蹂躪中断と偽善者チョ・グク罷免促求糾弾大会」でファン・ギョアン代表が挨拶している=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

 総選挙を控えて文在寅(ムン・ジェイン)大統領の熱烈支持層の態度が改めて話題になっている。保守勢力はこのような“文(在寅)派”を“ムンパ”と卑下して逸脱を糾弾する。「文大統領と与党指導部の黙認が“ムンパ”の無差別攻撃を育てた」という見立てや、「行き過ぎた熱烈支持層、文大統領が出て沈静化させよ」という要求が続く。

 正しくない。10万人に至る共に民主党の熱烈なオンライン党員が主軸という彼らは、文大統領の指示により動く組織ではない。2017年にアン・ヒジョン候補とイ・ジェミョン候補に降り注いだショートメール爆弾を「競争をおもしろくする薬味」と言った文大統領の発言を引き出し、「ムンパの暴力性を追認した」と非難するのも適切ではない。「ヒトラー追従者を連想させる」とのキム・ジョンイン元民主党代表の発言、「患者だ、治療が必要だ」とのソ・ミン檀国大学教授の診断を持ち出すのも直ちには同意しがたい。

 ファンダム(熱心なファンにより形成された文化)政治は文大統領だけの問題ではない。一部の熱烈支持者の逸脱も“文派”の固有色ではない。ファン・ギョアン未来統合党代表の支持集会やイ・ジェミョン京畿道知事の支持組織、“太極旗部隊”まで、極端な主張は常に存在した。保守勢力の非難はさらに露骨だ。自由韓国党を批判すればコメントには「キレギ」(キジャ(記者)とスレギ(ゴミ)の合成語でメディアを卑下する言葉)や「ハンゴルレ」(ハンギョレに「ゴルレ(雑巾)」を合わせてハンギョレを卑下する言葉)が必ず付けられた。悪口も横行する。中学1年生の息子は「お父さん、誹謗中傷のコメントがハンパじゃないよ、なんでそんなに悪口を言われるの?」と心配する。「保守が掌握したネイバーのコメント欄は感情のトイレだ。気にするな」と答える。

 文派、指革命軍(イ・ジェミョン京畿道知事の支援組織)、ファンサモ(ファン・ギョアン未来統合党代表の支援組織)、太極旗部隊は、市民の政治参加が日常化した現実を反映するものでもある。ファンダムを形成した彼らの意思表現がさらに積極性を帯びるようになったことも見逃してはならない。

 さらに最近の“文派”への非難には総選挙を狙った政治的意図が潜んでいる。“文派”は政府批判の口をふさいで「だまって支持」(熱烈な文大統領支持者が使うツイッターのハッシュタグ)で脅す紅衛兵であり、大統領が“ムンパのやりたい放題”を認めたという主張は、保守メディアと未来統合党が作った総選挙フレームという性質が濃い。

 民主党で「ムンパの機嫌をうかがうと、自分の声が出せない」というのも誇張がある。公認で不利な時に“ムンパ”のせいにして、信念のなさを脅迫によって口をふさがれた沈黙であるかのようにいう一部の民主党議員の態度は、保守勢力が仕掛けた「ブービートラップ」に自ら踏み込むことに他ならない。

 支持する人に追従したり熱狂し、相手側を狙撃するのはファンダム政治の属性だ。ただし、彼らの行動が追従する政党や政治家に実際に役立つかは全く異なる問題だ。一部の“文派”の極端な表現は、「総選挙後に文大統領弾劾」を騒ぎ立てる未来統合党を抑えなければならないという切迫さが加わったのだろう。しかし、切迫さで全てを正当化することはできない。

 民心は友好的でない。民主党の親文(在寅)の関係者たちに尋ねた。不動産暴騰、経済状況、大統領に対する審判の選挙にしかならない政権4年目の総選挙を、避けられない「三大構造的悪材料」として挙げた。これに民主党の失敗と熱烈支持者の極端な表現が傲慢に映る「態度」の問題が重なり、状況をより一層こじれさせていると口をそろえた。

 熱烈支持者は「私たちが文在寅政権を死守する最後の砦」との確信を持っているのだろう。しかし激烈な支持表現は、防御の武器だが味方を突く凶器になることもあり得る諸刃の剣だ。合理的支持層が去り、中間層を背かせて、民主党を孤立させることになり得る。文大統領に傲慢と頑固一徹のイメージをさらに重ねようとする保守勢力においしい餌を投げる敗着にならないないか、考えなければならない。極端な擁護では民心を惹きつけることはできない。熱血な飼いウサギ(熱烈な支持勢力)だけでは総選挙に勝利することもできない。

 「景気が最悪だ」と言った牙山(アサン)の総菜屋の店主を「不敬だ」として個人情報をネットに公開し、民主党が謝罪したイム・ミリ教授を再告発し、チョ・グク前法相を批判したクム・デソブ議員を必ず落選させると乗り出すなら、異なる意見に対する尊重や最小限の寛容さすらない時代錯誤的な態度として攻撃され、合理的支持層と中間層をさらに遠ざけることになり得る。

 紅衛兵という非難は不当だが、“国民の敵”に自らなってはならない。「文派に対する」引き回しと同様に「文派による」引き回しも問題だ。“復活朴槿恵党”の兆しを見せる未来統合党、特に選挙制度を悪用して代議制民主主義を脅かす衛星政党の未来韓国党の虚構を暴露することが、より急務ではないか。

//ハンギョレ新聞社

シン・スングン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/929069.html韓国語原文入力:2020-02-21 02:10
訳M.S

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