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[特派員コラム]日本右翼のヘイトスピーチを間近で聞いた

登録:2020-01-02 20:38 修正:2020-01-03 08:00

 昨年8月10日、東京で開かれた「平和の灯を!ヤスクニの闇へ キャンドル行動」都心行進に参加した時のことだ。韓国と日本の市民で構成されたデモ隊が、千代田区の在日韓国YMCAの建物前を出発し、靖国神社付近の公園までろうそく形の小さな蛍光棒を持ち、1.5キロメートルを行進すしていると、大型スピーカーを積んだ黒い右翼の車一台が現れた。

 車からは「朝鮮人をぶち殺せ」という背筋の寒くなるような言葉が繰り返し鳴り響いた。2006年から日本の太平洋戦争敗戦日である8月15日前後に開かれているこのデモ行進に対する右翼の妨害はほとんど毎度のことだった。昨年、右翼の車両登場を見た時も、最初は関心がなかったが、2018年までは聞くことのなかった「ぶち殺せ」という言葉まで聞こえて背筋が寒くなった。日本に来る前にも“ヘイトスピーチ”(特定集団に対する公開的差別・嫌悪発言)の問題を記事や資料である程度は知っていたが、実際に殺すという言葉を間近で聞くと衝撃は小さくなかった。

 ヘイトスピーチで表出される民族差別主義は、その言葉自体が被害者を大きく傷つけるが、言葉だけで終わるという保障もない。1923年に起きた関東大震災の時、「朝鮮人が井戸に毒を撒いた」のようなデマが広がり、それが少なくとも犠牲者数千名と推定される朝鮮人虐殺事件につながった。憎悪と差別の言語を社会が容認し始めれば、どれほど恐ろしい結果を生むことになるかを示す端的な事例だ。右翼がヘイトスピーチをしている所で、日本の市民が“カウンター”(反対)デモをする理由は、ヘイトスピーチ自体が正しくないだけでなく、共同体全体を破壊しかねないという危機感のためでもある。

2017年7月、神奈川県川崎市の平和公園で市民が「共に幸せに」と書かれた横断幕を持ちヘイトスピーチ反対デモをしている様子=資料写真//ハンギョレ新聞社

 年末の先月12日、在日同胞が多く暮らす川崎市の市議会が嫌韓デモをはじめとして“ヘイトスピーチ”をした人を処罰できる条例を本会議で通過させたといううれしいニュースが聞こえてきた。日本国内でヘイトスピーチ“処罰”を含んだ法規が制定されたのは今回が初めてだ。実際に処罰されるのは、市が公共の場所でヘイトスピーチをした人に対し中止命令を下し、命令を受けた後もヘイトスピーチをした場合だ。この時も市長が検察に加害者を告発し、捜査機関の捜査を経てこそ処罰ができる。常習犯でなくては処罰に至るのは容易でなく見える。インターネットでするヘイトスピーチも、川崎市条例の処罰対象からは抜けている。したがって完ぺきだとは言えない。しかし、ヘイトスピーチを根絶するために戦ってきた在日同胞と日本の市民、そして川崎市の行政当局の努力がおさめた大きな結実であることは間違いない。

 日本では、東京五輪とパラリンピックの開催を控えて、差異を尊重する多様性ある社会を指向しようという議論が昨年から盛んになっている。代表的な例が、昨年日本で開かれたラグビーワールドカップに出場した日本代表チームを修飾する言葉である“ワンチーム”だ。日本代表チーム31人のうち15人が外国国籍者だったが、多様な背景を持っていても一つのチームという意味で大流行した。ラグビーワールドカップを主催する競技団体の「ワールドラグビー」は、3年以上該当国家に居住する場合などには国籍と関係なく代表になれると規定している。日本の出版社である「自由国民社」は、昨年“新語・流行語”大賞にこの“ワンチーム”を選んだ。

 しかし、流行語と現実との間隙は、依然として大きいように見える。違いが差別と攻撃の理由にならない社会に進むための粘り強い足取りを、今年日本でより多く見ることができるよう望む。

//ハンギョレ新聞社
チョ・ギウォン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/922966.html韓国語原文入力:2020-01-02 19:31
訳J.S

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