韓国国内で1年に3千人を超える外国人移住労働者が、死に至った経緯さえきちんと解明されず死亡していたことが明らかになった。彼らは劣悪な労働環境の中で最も危険な労働をさせられていて命を落としているにもかかわらず、社会的に「消された存在」も同様だった。「弱者保護」を叫んできた政府は、これまで彼らの死を傍観するのみだったのではないか省みるべきだ。
国家人権委員会が先日公開した「移住労働者の死亡の原因分析および支援体系構築のための研究」と題する報告書(ソウル大学保健大学院のキム・スンソプ教授の研究チーム)は、移住労働者の死者数を推定した初の試みだ。労働が認められたビザで入国して2022年の1年間に亡くなった3340人の移住労働者の中で、死についての最小限の情報が残っているのは214人(6.4%)に過ぎなかった。残る3126人(93.6%)は死亡時の状況や死亡時刻などが空白になっていた。死に関する情報がまったくない人も、少なくとも2267人いると推定されている。研究チームは「移住労働者は働いている間に『未登録』になりやすく、死んでも原因調査がなされないため『死因不明』として処理されやすく、死後には遺体の処理過程で『無縁仏』に分類されやすい」と指摘している。
研究チームは今回、7つの機関の行政資料や5カ国の大使館の資料などをもとに分析にあたった。全方位的に資料収集にあたったが、正確な実態の把握は事実上不可能だったという。政府が移住労働者の死についての基礎的な状況すら把握していなかったという問題が、如実にあらわになったのだ。この間、政府は移住労働者の出入国管理ばかりに神経をとがらせてきたと言っても過言ではない。死に関する記録がないということは、死亡原因の究明や遺族に対する適切な補償や支援も行われていないことを意味する。政府は直ちに実態の把握にあたるのはもちろんのこと、実態に沿った支援対策を講じるべきだ。
研究チームによると、移住労働者の労災による死亡リスクは最大で韓国人労働者の3.6倍にのぼる。概して健康な状態で入国した人々の労災リスクが高いということは、それだけ劣悪な労働環境に置かれているということを意味する。先月28日の海外メディアに対する記者会見で、ある移住労働者は「マスクもなしに鉄粉にさらされて一日中働かされた」として憤りをあらわにした。政府は徹底した労働監督を行うのはもちろん、強制労働に苦しまないでも済むよう事業所変更の自由を保障し、医療へのアクセスを高めるなどの対策を検討すべきだ。