日本の川崎市が、「ヘイトスピーチ」を行う人を処罰する条例を、日本の地方自治体では初めて本格的に進めている。
「共同通信」は、首都圏にある神奈川県川崎市が25日、定例市議会でヘイトスピーチを繰り返す人に最大50万円の罰金を科す条例案を提出したと報じた。
川崎市は在日コリアンが多数居住する地域で、在日コリアンを狙ったヘイトスピーチが頻繁に発生している。川崎市の条例案の名称は「差別のない人権尊重のまちづくり条例案」で、川崎市内にある公共の場所で、特定の国や地域のルーツを持つ人々に対して差別的な言葉や行動をするいわゆる「ヘイトスピーチ」を禁止する内容だ。違反が3回繰り返された場合、50万円の罰金刑に処することができるよう定めている。
違反者にはまず条例の順守を勧告し、それでも違反行為が繰り返されれば氏名や住所などを公表する内容も盛り込まれている。勧告・命令を出したり、氏名を公表する場合は学者など専門家の意見を聞くよう手続きを規定した。福田紀彦川崎市市長は、市議会で全会一致の条例案の可決を目指すことを明らかにした。また「人権尊重のまちづくり推進のため、丁寧に議論を深め、市民の意思に沿った条例制定に取り組む」と述べた。条例案は来月12日に成立するかどうかが決まる見通しだ。
日本政府は嫌韓ヘイトスピーチが横行していることを受け、2016年に中央政府レベルでヘイトスピーチ対策法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)を制定した。しかし、同法は加害者を処罰する規定のない「理念法」という限界があった。東京都など自治体レベルでも差別禁止関連条例が制定されたが、これまで処罰規定付きのものはなかった。