歌手兼俳優ソルリ(本名チェ・ジンリ)の死去のニュースが伝えられた14日以降、SNSなどには追悼とともに、これまで彼女に浴びせられた悪質な書き込みやマスコミの報道のあり方、さらには女性アイドルの消費の仕方や女性嫌悪に対する怒りの声があふれている。彼女を死に追いやった直接の原因は明らかにされていない。しかし、25歳の女性芸能人がこのような極端な選択(自死)をしたことに対して、社会に責任はないと自信を持って言える人はいまやいないだろう。
彼女はうつ病や対人恐怖症などに苦しんでいたという。2009年に女性アイドルグループf(x)(エフエックス)のメンバーとしてデビューし、活発な活動を行っていた2014年にも悪質な書き込みや噂で苦痛を訴え、芸能活動を一時中断したことがある。翌年グループから脱退し俳優として活動してきたソルリは、最近「悪質な書き込み」を題材とした全国放送の芸能番組の司会者となったが、第1回目の放送で「一時期、路地裏ばかりを歩いていた。どこにでもカメラがついてるみたいで」と打ち明けている。いつも堂々としていた姿の裏にどんな苦悩があったのか、みな無知で無関心すぎたのではないかと胸が痛む。
彼女が悪質な書き込みに苦しんできたのは広く知られた事実だ。匿名で書く側は単なる「コメント1行」と考えるかもしれないが、悪質な書き込みをされる側にとってはその1行が人格を破壊するような暴力だ。警察庁の集計によると、悪質な書き込みと見なせるサイバー名誉毀損・侮辱犯罪は2018年現在1万5926件で、前年より約20%増えている。通報された件数がこれくらいだから、実状ははるかに大きいだろう。大衆の人気が命の芸能人は対抗するのも容易でない。芸能界の類似する悲劇が少なくなかったにもかかわらず繰り返される悪質な書き込みに対して、特段の対策を議論するべきではないかと思う。これは表現の自由でもスターに対する消費者の権利でもなく「犯罪」にすぎない。
一部の悪質な書き込みをする人々だけでなく、韓国社会全体にも女性アイドルへの対し方を振り返ってみてほしい。男性がやれば意見表明であり、「女性アイドル」が言えば「目立ちたがり」という非難が殺到するのは、昨日今日に始まったことではない。若い女性芸能人を「人形」や「性的対象」として消費する大衆文化と深い関係があることは否めない。そのような点で、ソルリは特別な存在だった。下着を着ていないようなTシャツの写真で攻撃を受けた彼女は、「個人の自由だ。私にとってそれはつけることもあるし、つけないこともあるアクセサリー」と堂々と述べた。他人の目を意識せずに自由に生きようとした女性、ソルリの冥福を祈る。