良心に従っての兵役拒否者に対して、裁判所が相次いで無罪判決を出している。2004年の初めての無罪判決以後30件の無罪判決のうち、40%以上が今年下された。良心的兵役拒否者に対する刑事処罰は過去10年間余り、韓国国民の“良心”を重く押さえつけてきた事案だ。第一線の判事の相次ぐ無罪判決により、韓国社会がもうこうした圧迫から抜け出さなければならないという共感が形成されていることがわかる。
韓国は世界で最も多くの良心的兵役拒否者が収監された国に挙げられる。4月基準で累積収監者は1万9000人に達し、今も400人近い人が監獄に閉じ込められている。今年5月、国際アムネスティはこうした現実に注目して、韓国政府に対し代替服務制の導入を促した。国家人権委員会も昨年、良心的兵役拒否者を処罰することが憲法に保障された「良心の自由」の侵害にあたると指摘して、代替服務制の導入が必要だという意見を憲法裁判所に提出した。
一部の人々は、良心的兵役拒否の許容が国防力を弱化させ、国防の義務を回避する手段に悪用されることを憂慮する。しかし最近の判決文が強調しているように、代替服務制が兵役忌避者を量産するという国際的報告もなく、戦闘力に損失を持たらした事例も確認されたことがない。むしろ韓国と境遇が似ている台湾では、代替服務制を許容した後に問題がなく、代替服務期間を軍服務期間と同じに減らした。
代替服務制は2007年に盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が導入すると発表したが、翌年発足した李明博(イ・ミョンバク)政府が撤回して原点に戻ったということがある。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、候補時期に代替服務制の導入を公約し、第20代国会に入り、共に民主党のパク・ジュミン議員らも代替服務制法案を発議した。法案の内容は、代替服務期間を現役服務の1.5~2倍に設定し、勤務強度が現役入隊に準ずる分野で24時間合宿形態で服務させるというものだ。この程度ならば国民的同意を得られると見られる。
良心に従って執銃を拒否するという理由だけで、毎年数百人の若者が監獄に行かなければならない現実は苛酷だ。良心的兵役拒否者を前科者にするのでなく、共同体のために働く機会を与えることが、憲法を守るだけでなく国にも利益を与えると言える。政府と国会は代替服務制の立法化に力を集めることを望む。