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‘全ては盧武鉉のせい’が‘全てMBのせい’に…かわいそうなMB!

原文入力:2012/02/02 11:22(2280字)

←ソル(旧正月名節)を2日後に控えた21日午前、李明博大統領がソウル、鍾路区(チョンノグ)、通仁洞(トンインドン)の在来市場を訪ね、商人の手を握ってうれしそうに挨拶し励ましている。 (写真=大統領府提供)

[クァク・ビョンチャン コラム] ABRの帰結がABLとは!

 桐の葉が落ちれば秋も終わりと思わなければならないと言うが、桐の葉が落ちる前に吹雪が固め打ちするとは。 6人会だ、親李だ、すごい剣幕だった枝葉が全て離れて行き、骨組みだけがやせこけて残っている。木であれば修行者の忍苦を思い起こさせるだろうが、実力以上の虚勢に意気揚揚だった彼だから、そのみすぼらしさに苦笑が先に立つ。

 数日前ハンナラ党非常対策委が発表した新しい政治綱領・政策の大きな方向は‘李明博消し’(ABL・李明博のものでなければ何でも)だった。 4年前のこの時期に現れた盧武鉉消し(ABR)からアルファベット一文字だけが変わった帰結がわびしい。 ジョージ・ブッシュ米国大統領が前任者ビル・クリントンの政策を無条件に否定(ABC)して乞食になったが、李大統領は彼をまねて任期を1年も残したところで戸籍(ハンナラ党)から消された。

 政党が彼の痕跡を抹消することは実利を優先する政界ではよくあることで驚くことではない。 深刻なのは彼に向けられた大多数の国民の視線だ。 襟首がスースーするほど殺伐としているので、今後彼がこの地に頼ることができるかも計り難い。 孫娘のモンクレール パッディングジャンパー論難は象徴的だ。 正月の前日に孫娘を通仁市場に連れて行き、菓子を買った姿は隣のおじいさん以上でも以下でもなかった。 盧武鉉前大統領が退任後に孫娘のソヒョンを自転車に乗せて田舎道を走った姿を連想させて心にひっかかりもしたが、それはすべてのおじいさんたち共通の夢だ。 ところが盧前大統領の場合は今でも胸が痛む水彩画に描かれているが、李大統領の場合は純度100%の飾りとしてのみ見えた。 かわいそうなMB!

 もちろん原因の提供は彼がした。よりによってなぜまた、在来市場なのか。 窮地に追い込まれさえすれば‘庶民’の2字を口癖のように言った彼だった。江南(カンナム)クッパ店でもそうしたし、あちこちの在来市場に通ってそうした。 庶民の持分をかき集めて金持ちにまとめて与えながらも、露天商のおばあさんに渡したマフラー一つで歓心を詐取しようとした。 イ・ドングァン前特別補佐官のような人は、そんな彼を‘骨の髄まで庶民’と主張して、張三李四(訳注:張さんの三男と李さんの四男で、平凡な人を指す。八っつあん、熊さん)の心を波立たせた。さらに致命的だったのはこのような二律背反と偽善をそれこそ自由自在に駆使した点だ。彼にとって庶民とはカモ、あるいは姿のない人間に過ぎなかった。

 フランス国立社会科学研究所のミシェル・パンソンモニク・パンソン夫妻は2010年秋に出した<富者たちの大統領>で、彼らが守る十戒を提示した。 1.財閥オーナーらと友人として過ごす。 2.減税で金持ちを保護する。 3.誰がなんと言っても側近は取りまとめる。 4.公と私を区分しない。 5.便法を恐れない。 6.検察を権力の下手人にする。 7.マスコミを掌握する。 8.土木工事に勝負をかける。 9.金持ち町内に投資する。 10.理念や価値は関係ない、政権だけを守れば良い。 フランスでも '消し' が真っ最中であるニコラ・サルコジ大統領の生活哲学を整理したものだが、私たちには一層驚くべき内容だ。何とまあ、よくも李大統領をこれだけ説明したものだ。このベルルスコーニ-サルコジ主義の綱領はMBにおいて絶頂の花を開いた。

 あえて挙証する必要もない。 親財閥カン・プジャ(江南に土地を持つ成金)政権、コ・ソヨン(高麗大学、ソマン教会、嶺南出身)人事、金持ち減税、偽りの涙と嘘、検察の侍女化、放送掌握と朝中東特典、4大河川土木事業、更に加えて、内谷洞(ネゴクトン)私邸土地など。 選挙が終わった後に持ち出しても遅くないキャッチフレーズを選挙の11ヶ月前に早々と掲げたのは、そのようなわけだった。 救済不能という判断なしには、選挙で官権依存度が絶対的な与党がそのような形で現職大統領を投げ出すことは考えられない。

←クァク・ビョンチャン論説委員

 新しい政治綱領・政策に対して李政府のキーを握っていた日刊紙C,J,D(朝中東)が最大限に頬を膨らませるのは当然だった。 遠慮なく非難しはしなかったものの、‘現在も失い、未来も失う’、‘市場の活力を殺し企業の自律性を踏みにじる’、‘野党のフレームに閉じ込められ目標を見失うことになる’可能性を憂慮した。 今回抹消された効率性、競争、優秀性、小さな政府、大きな市場、北体制変化などは彼らが前面に掲げたイデオロギーであった。

 2007年大統領選候補選挙戦に出た朴槿恵委員長は記憶に生々しいだろう。 CJD(人間狂牛病ではない)の動きのことだ。根元をまともに掘らなければならない。 そうしなければ、それでも未だ危険なABLは再びABPに帰結されるかもしれない。

クァク・ビョンチャン論説委員 chankb@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/517100.html 訳J.S