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韓国、スーパーエリートの没落【コラム】

登録:2025-05-14 23:47 修正:2025-05-15 10:28
//ハンギョレ新聞社

 現代自動車の電気自動車「アイオニック5」は、1976年に韓国が初めて独自生産した自動車「現代ポニー」のデザインをモデルにしている。ポニー生産の土台を築いたのは商工部のキム・ジェグァン次官補だ。ドイツのミュンヘン工科大学で工学博士号を取得した科学者だった彼は、「韓国の技術で自動車を作らなければならない」と言って当時の現代自動車のチョン・セヨン社長とチョン・ジュヨン会長を説得した。

 韓国経済が急速に成長した1960~1980年代には、有名な経済官僚が多かった。おおむね解放前に生まれ、日本や米国などの外国で学位を取得し、40代で長官に就任し、政策をけん引した。

 韓国銀行出身で韓国日報の創刊者でもあるチャン・ギヨン副首相兼経済企画院長官(1964~1967年在任)は明け方から電話で職員たちにねちねちと小言を言い、物価を抑えるために現場を自ら駆けずり回った。現代ポニーを船に積んで当時は貿易取引が違法だった中国市場で売ったり、中国産の唐辛子を輸入して国内の唐辛子騒動を鎮めたりしたのは、「西江学派(西江大学元教授の経済官僚)のゴッドファーザー」だったナム・ドグ大統領経済特別補佐官だった。

 最近、省庁分割論争を呼んだ「企画財政部による王のふるまい」がはじまったのも、この頃だ。1961年の5・16軍事クーデター直後、経済開発5カ年計画を推進するために経済企画院が作られ、同院に財務部の予算編成権までもが移されて権力が集中した。

 罷免された尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領は、企画財政部の経済官僚を「スーパーエリート」と呼んだ。尹氏は第20代大統領選挙の際、かつて全斗煥(チョン・ドゥファン)から「経済はあなたが大統領だ」と言われたキム・ジェイク経済首席の郷愁を持ち出した。経済は最高の専門家である官僚集団に任せればよいという論理だ。ハン・ドクス首相、チュ・ギョンホ経済副首相、チェ・サンモク経済首席の補佐陣はこうして作られた。

 スーパーエリートたちは、実際には役割を果たせなかった。韓国経済の実質成長率(対前期比)は昨年第1四半期が1.3%、第2四半期は-0.2%、第3、第4四半期は0.1%、今年第1四半期は-0.2%と、底辺をはいずっている。チュ・ギョンホ議員は12・3違法非常戒厳の解除を妨害した内乱共犯の疑いが持たれている。ハン・ドクス前首相は国会が選出した憲法裁判官の任命を拒否することで為替不安をあおり、チェ・サンモク前副首相は憲法裁の違憲決定に知らぬふりをした。

 かつては韓国経済という白紙に官治の剣を振りかざして下書きを書いたエリート経済官僚の時代は過ぎ去った。これから新たな道を切り開くべき公職者の後輩たちに、彼らは恥ずべき肖像を残したのではなかろうか。

パク・チョンオ|経済産業部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1197440.html韓国語原文入力:2025-05-14 16:15
訳D.K

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