本文に移動

スターリンクめぐる真偽論争…マスク氏「ウクライナが攻撃用に使用したため遮断」

登録:2026-10-26 08:05 修正:2026-10-26 09:27
ウクライナ「スターリンクを攻撃用に使用することは不可能」 
マスク氏「軍事用スターシールド」は米国政府の管轄
スペースXのイーロン・マスク氏が8日(現地時間)、米ワシントンD.C.の米国平和研究所で開かれた「新たな黄金時代」サミットに出席している/ロイター・聯合ニュース

 スペースXのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は、自社の衛星通信サービス「スターリンク」をウクライナが殺傷用ドローンに利用しようとしたため速度を制限したと述べ、自身の介入を正当化した。これに対し、ウクライナ側は「攻撃用ドローンはスターリンクを使用できない」と反論し、真偽をめぐる論争が起きた。マスク氏は、軍事用の「スターシールド」についても速度制限措置を指示したとの疑惑から、「民間人として不適切な介入」だとする批判を受けているが、これについても完全には釈明できていない。

 マスク氏は24日(現地時間)、ソーシャルメディアのX(旧Twitter)で、「ウクライナ軍はスターリンクの利用規約に違反し、人を殺害するための攻撃用ドローンによる攻撃にこれを使用した」とし、「その抜け穴は先週ふさがれた」と明らかにした。続いて、「民間商用サービスであるスターリンクを、人を殺傷するための攻撃用ドローンの攻撃に用いることは、これまで一度も許されておらず、許されてはならない」と強調した。

 ただし、マスク氏は軍事用サービスであるスターシールドについては「米国政府が管理している」とし、「何をしようとも、それは彼らの判断だ」と述べた。民間向けスターリンクと軍事用スターシールドの運用責任を区別し、民間向けについては正当な理由から攻撃目的での使用を阻止した一方、軍事用については自身の責任ではないと主張したのだ。

 ウクライナ側はこれに反論した。ウクライナ大統領の国防技術担当顧問、セルヒー・ベスクレストノフ氏は同日、フェイスブックで「マスク氏がウクライナにおけるスターリンクの運用制限を知らないというのは非常に奇妙だ」とし、ウクライナがスターリンクを攻撃用ドローン作戦に用いることは「物理的に不可能だ」と反論した。同氏は、2月からウクライナ領土の上空にあるすべてのスターリンク端末には時速70~90キロの移動速度制限がかけられており、ロシア領土の上空ではスターリンクが機能しないため、スターリンクを中長距離ドローンに使用することはできないと説明した。中長距離無人機は時速数百キロで飛行する必要があるため、今回の時速160キロという速度制限のもとでも作戦は不可能だった。ウクライナの説明が事実であれば、「民間向けスターリンクを殺傷目的で使用してはならない」という規定を根拠に自身の介入を正当化しようとしたマスク氏の試みは意味を失うことになる。

 さらに、マスク氏が介入したのが、本人の主張とは異なりスターシールドに関するものであった場合、民間人の立場で戦況を左右する決定を下したことは正当なのかという批判を免れない。20日、ウォール・ストリート・ジャーナルは米国政府当局者らの話として、マスク氏がスターシールドの速度制限を指示したと報じた。米国のトランプ大統領と国防・国務長官はいずれも速度制限を指示したことはないと述べており、マスク氏の主導的な役割を疑う声は高まっている。

 BBCなどの報道によると、ウクライナは必要な通信用途に応じて、民間向けサービスであるスターリンクと、セキュリティがさらに強化されたスターシールドを使用している。両サービスとも、スペースXが打ち上げた低軌道衛星網によって運営されている。スターリンクは戦場の遠隔地で軍の部隊が互いに連携する際に使用され、スターシールドはウクライナのドローン操縦士が標的をリアルタイムで確認し、迎撃ドローンを運用できるようにするものだ。

 ウクライナのドローンに対する速度制限にマスク氏がどの程度関与したのかは不透明であり、その実態を解明すべきだとする声が上がっている。15日、米連邦上院議員9名(共和党4名・民主党5名)は国防総省に対し、この件に関する真相調査を求めた。

 今回のスターシールドの速度制限は、米国とロシアの軽油をめぐる合意にウクライナが反発するなかで浮上した。トランプ大統領が9日、燃料価格の負担を軽減するためロシア産軽油を購入する合意を発表すると、ウクライナのゼレンスキー大統領は「終わらせるべき戦争を長引かせる投資だ」と批判した。一方、米国はウクライナに対し、ロシアの製油施設への攻撃を中止するよう圧力をかけたが、ウクライナはこれを受け入れていない。

 その後、ウクライナ当局者は、13日夜からスペースXの衛星通信サービスの利用に時速160キロという速度制限が設けられたことで、ロシアの攻撃用ドローンを迎撃する軍の能力が低下し、一部の作戦は中止せざるを得なかったと明らかにした。同じ時期にゼレンスキー大統領が、ロシアによる弾道ミサイル発射を事前に知らせる米国からの早期警報を受け取れなかったと明らかにしたことで、ウクライナ国内では怒りがさらに高まった。

イ・ウヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1284086.html韓国語原文入力:2026-10-25 22:11
訳M.S

関連記事