本文に移動

田中宏教授「朝鮮学校の高校無償化排除、日本政府の露骨な差別行為」

登録:2025-03-11 07:57 修正:2025-03-11 09:03
日本の代表的な進歩的知識人である一橋大学の田中宏名誉教授(88)が7日、東京のカフェで、「高校無償化拡大政策」から朝鮮学校の高校生を排除した自民党、公明党と日本維新の会を強い口調で批判している//ハンギョレ新聞社

 「日本の高校無償化政策において、他の外国人学校は対象にして朝鮮学校だけ排除するのは、政府の露骨な差別行為だと言わざるをえません」

 5日、ハンギョレの取材を受けた一橋大学の田中宏名誉教授(88)は、日本の連立与党の自民党・公明党と野党の日本維新の会が最近、「高校無償化拡大政策」から朝鮮学校を再度排除したことについて、強い口調で批判した。日本の代表的な進歩的知識人であり、韓国と日本の歴史問題などで日本政府の保守的な態度を批判してきた田中教授は、「これら3党が『高校授業料無償化の拡大政策』に合意し、補助金対象から過去15年間除外されてきた朝鮮学校問題については議論さえしないのは深刻な問題」だとし、「朝鮮学校の生徒は大人たちの政治問題に関して何の過ちもないにもかかわらず、日本政府の教育政策で差別を受けてきた」と指摘した。

 これに先立ち4日、日本の公立・私立の高校生が事実上授業料を負担せずに済む「高校無償化拡大案」を含む2025年度予算案が、自民、公明、維新の会の賛成多数で衆議院本会議を通過した。少数連立与党の自民・公明党による単独での予算案処理が不可能になると、維新の会は政府の予算案に賛成する代わりに、自分たちが推進してきた「高校無償化拡大政策」を貫徹させた。今年の新学期が始まる4月から、就学支援金を受ける世帯所得の制限(年間所得590万円以上)を撤廃すると同時に、私立高校を対象にした支援金を年間39万6000円から45万7000円に引き上げた。公立学校への支援金は現行の11万8800円が維持される。税金1064億円が追加投入され、高校生87万人が新たに支援金を受けることになり、83万人は支援金の受給額が増えると予測されている。

日本国内の市民団体「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」が7日、文部科学省前で「朝鮮学校に対する差別の是正を要求する金曜行動」を行い、政府の態度を強く糾弾している//ハンギョレ新聞社

 高校無償化政策は大幅に拡大されたが、朝鮮学校は今回もまた支援対象から除外された。朝鮮学校の排除は、2010年4月に当時の民主党政権が高校無償化政策を施行したときから始まった。一般の公立・私立の高校だけでなく他の外国人学校も同様に支給対象となったが、朝鮮学校だけが除外された。北朝鮮による日本人拉致と、近年の北朝鮮核・ミサイル開発問題が背景にあった。田中教授は「過去15年間、当然であるかのように維持されてきた朝鮮学校差別問題が、今回の高校無償化拡大の過程で再議論されるのではないかという期待があったが、政界はこれを切り捨てた」とし、「大人たちの政治の争いになぜ教育問題を巻き込み、スケープゴートにするのか」と苦々しく語った。

 先月28日、田中教授は東京大学の和田春樹名誉教授などの知識人をはじめ、市民団体の連合会である「日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク」(日朝全国ネット)と緊急記者会見を行い、「児童差別を禁止した現行の日本の『こども基本法』に反するものであり、国連の人種差別撤廃委員会と子どもの権利委員会が『差別のない教育機会を保障しなければならない』と勧告したことに真っ向から反する行為」だと指摘した。

日本国内の市民団体「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」が7日、文部科学省前で「朝鮮学校に対する差別の是正を要求する金曜行動」を行い、政府の態度を強く糾弾している//ハンギョレ新聞社

 日本の市民社会からは、主要政党による露骨な朝鮮学校への差別行為を是正するよう求める声が上がっている。韓国と日本の市民が設立した「朝鮮学校『無償化』排除に反対する連絡会」は7日、東京都千代田区の文部科学省の前で、激しい糾弾を続けた。この日の金曜行動には、一般市民だけでなく、東京朝鮮中高級学校の高等部の1年生約100人と教師約10人、最大野党「立憲民主党」の議員3人が参加し、文部科学省に「差別撤廃」を強く求めた。朝鮮学校の在学生は「わが民族は、日帝強占期(日本による植民地時代)も朝鮮語と歴史を習い守ってきた。今の私たちも、日本に住み民族と歴史を誇りに思う生徒であり、これは恥じるべきことではない」としたうえで、「不当な差別はただちにやめ、朝鮮学校に対する支援を回復せよ」と要求した。立憲民主党の議員はこの日、集会の途中で文部科学省の関係者らと面談し、「朝鮮学校への補助金の復活」を要求した。この日の集会に参加した立憲民主党の平岡秀夫衆議院議員は、この問題について日本は国際社会から国際法に反することであり人権保護違反だという指摘を受けており、これ以上恥ずべき行為はやめるべきだと述べ、朝鮮学校の生徒たちの学習権の保障と無償化措置の回復について政府と文部科学省に様々な要請をしたと述べた。連絡会は2013年から「朝鮮学校に対する差別の是正を要求する金曜行動」の集会を500回以上続けている。

 田中教授は「北朝鮮と日本の間の政治的な問題を子どもたちの教育問題と結びつけるという発想自体が反人権的なものであり、日本の現行法にも反する行為」だと述べ、「今回の無償化政策拡大を適用する過程でも、朝鮮学校の生徒たちの権利回復が必ずなされなければならない」と強調した。

一橋大学の田中宏名誉教授//ハンギョレ新聞社
一橋大学の田中宏名誉教授//ハンギョレ新聞社

東京/ホン・ソクジェ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1186312.html韓国語原文入力:2025-03-10 22:45
訳M.S

関連記事