本文に移動

「朝鮮学校が怖いのか」…「反省しない日本」に鞭をとった市民たち(3)

登録:2024-02-26 07:07 修正:2024-02-26 08:27
「朝鮮学校差別反対」第555回集会現場
今月7日、日本の大阪市東大阪にある朝鮮学校の様子。正門の銅版には「大阪朝鮮高級学校」と漢字とハングルで書かれている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

(2から続く)

「総連と民団を区分して人と付き合ったりはしません」

 今月7日午後1時、大阪市の東側にある朝鮮学校前。正門の銅板には「大阪朝鮮高級学校」と、漢字とともにハングルで書かれていた。校庭の中にはすでに咲いた椿の花が見え、運動場には何人かの生徒たちがサッカーの練習をしていた。教室では子どもたちが「キャハハ」と笑いながらじゃれ合う声が聞こえてきたりもした。

 これに先立ち、ハンギョレは大阪朝鮮高級学校や神戸朝鮮高級学校などに記事の趣旨を説明し、インタビューを要請した。しかし、最近南北関係が悪化した状況を反映するかのように、学校側はインタビューを断った。韓国では、朝鮮学校の差別問題を扱った映画の制作過程で総連と朝鮮学校の関係者に接触したという理由で制裁を加えようとしている。統一部は昨年11月、朝鮮学校問題を取り上げたドキュメンタリー『差別』を制作したキム・ジウン監督に、総連と朝鮮学校関係者に接触したという理由で「南北交流協力に関する法律」により過料が賦課される可能性があるという公文書を送り、「南北交流検閲」という議論を呼んだ。南北交流協力法によると、「北朝鮮住民」に会うためには、詳細な人的事項を書いて事前接触申告を行わなければならない。しかし、会う人の身元を特定するのが難しかったり、予期せぬ接触が行われたりすれば、事後申告もできる。しかし統一部は「事前申告」を強調して違反事例を捜し出し、事後申告も拒否している。

 キム監督は『差別』を作った契機を説明し、戸惑いを隠せなかった。「2017年、広島で朝鮮学校無償化訴訟の初判決が出ました。当時、ある在日コリアンがソーシャルメディアに掲載した動画を見て、大きな衝撃を受けました。在日コリアンたちが裁判長の前で泣き叫んで号泣する姿を見て、映画監督としてこのままではいけないと思いました」

 その後、キム監督は日本のさまざまな地域を回りながらドキュメンタリーを撮り始めた。 「朝鮮学校を応援し、支援する多くの日本人がいることに驚きました。日本の市民団体や弁護士、市民の活動に大きな感銘を受けました。それから2年間記録し、2021年にドキュメンタリーが完成しました」

大阪高等裁判所が2018年9月27日、大阪朝鮮高級学校の高校無償化控訴審で原告敗訴を言い渡したことを受け、朝鮮学校側関係者たちが「子どもたちを司法が見捨てた!」、「不当判決」と書かれた紙を掲げて見せている=キム・ジウン監督提供//ハンギョレ新聞社

 キム監督は「『差別』が統一部推薦ドキュメンタリーになってほしいという願いがあった」と言うが、現実は正反対だった。『差別』は釜山国際子ども青少年映画祭とソウル国際子ども映画祭から招待も受けていた。「韓国の中学や高校で上映会を開き、同年代の朝鮮学校の子どもたちも紹介し、在日コリアンの歴史もきちんと教えたいという考え」も水の泡になった。

 「李明博(イ・ミョンバク)政権や朴槿恵(パク・クネ)政権時代も、朝鮮学校の交流事業や訪問を南北交流協力法で阻止する事例はほとんどありませんでした。現政権の統一部は本当に情けなく、残念です。南北交流と協力のための法律を、交流を防ぐ法律として悪用するなんて…」。キム監督は21日から日本の北九州、広島、京都で『差別』上映会を開いている。

 韓国の市民団体「朝鮮学校と共にする人々、モンダンヨンピル(ちびた鉛筆)」も統一部から朝鮮学校の人々に接触した経緯書の提出を求められた。モンダンヨンピルのキム・ミョンジュン事務局長は「朝鮮学校は、国に力がなくて日本に強制的に連れて行かれた多くの朝鮮人の無念が込められた教育機関であり、解放された祖国に帰るために子どもたちに朝鮮語と文字を教えるために建てた学校だった」とし、「イデオロギーと政治にかかわらず支援すべき学校だが、統一部はこのような活動を展開する市民団体に対して、過去の活動を調査し脅しをかけようとしている」と批判した。

 朝鮮学校を支援している日本人も「不思議だ」という反応を示した。「私の知人の在日コリアンたちは総連か民団かを区分して付き合ったりはしません。ところが、総連の人に会う時に申告しなければならないなら、市民社会活動をするのにかなり負担を感じざるをえません。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 政権が、南北交流を全面的に阻止するために弾圧と意地悪をしているようです」(長崎事務局長)

 新井さんが販売するTシャツには次のような説明文が入っている。

 「日本社会が朝鮮非難を続ける中で、朝鮮学校は子どもたちがありのまま自分を認め、民族アイデンティティを育む大切なコミュニティです。自分にも誇りを感じ、他人の痛みに共感する朝鮮学校の卒業生たちは日本社会のあちこちで活躍しています。『繋いだその手を離さなければ必ず勝つ! 諦めないことが勝利への道!』韓国と沖縄の友人から送られたこの言葉を胸に刻みたいと思います。ご支援のほどよろしくお願いします」

 この文は長崎事務局長が書いた。新井さんは居酒屋を訪れる客にこのTシャツを勧め、何人かはTシャツを買ってくれるという。このように小さな縁を結んだ人たちが子どもたちの人権保護と差別撤廃に力を合わせる。民族や政治、イデオロギーとは関係のないことだ。

大阪/チョン・ヒョクチュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1129658.html韓国語原文入力:2024-02-2500:09
訳H.J

関連記事