日本の岸田文雄首相が「日朝間で実りある関係を実現することは、日朝双方の利益に合致する」とし、朝日首脳会談の実現に向けた努力を続ける意思を明らかにした。
岸田首相は28日夕方、新年度予算の成立を機に東京で開かれた記者会見で、朝日首脳会談に関する質問に「地域の平和と安定にも大きく寄与するという私の考え方は変わっていない」として、このように答えた。
岸田首相は「諸懸案解決に向けて努力していきたいと思っているが、相手のあることだ」とし、「従来の日本の諸懸案解決に向けた基本方針を実現するために、引き続き私直轄のハイレベルでの対話を行っていきたい」と述べた。さらに「その中で拉致問題をはじめとする諸懸案解決を動かしていきたいと強く願っている」と語った。
これに先立ち25日、朝鮮労働党中央委員会のキム・ヨジョン副部長が「最近も岸田文雄首相は別のルートを通じて早期に朝鮮民主主義人民共和国(金正恩)国務委員長に直接会いたいという意向を我々に伝えてきた」と明らかにした。また、「知るすべもない(日本人)拉致問題に没頭するならば、首相の構想が支持率上昇を狙ったものに過ぎないという評判を避けられなくなるだろう」とし、拉致問題は解決済みだと再び強調した。
ところが、キム副部長は翌日の26日、「日本側とのいかなる接触も、交渉も無視して拒否する」とし、朝日首脳会談を進めないと述べた。日本が拉致問題は解決済みという北朝鮮の主張を受け入れられないという立場を示したことを受け、北朝鮮が1日で朝日首脳会談に関心がないと宣言したものとみられる。
日本は2018年6月の朝米首脳会談以来、安倍晋三首相(当時)が「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長と直接向き合う用意がある」として朝日首脳会談の開催に向けた意志を度々明らかにしてきたが、北朝鮮の核・ミサイルそして拉致問題に対する両国の隔たりが大きく、朝日首脳会談は実現しなかった。
特に拉致問題について、北朝鮮は2002年9月、小泉純一郎首相(当時)が平壌(ピョンヤン)を訪れた際、金正日(キム・ジョンイル)総書記が公式謝罪し、生存被害者5人を帰国させたことで、拉致問題を「すべて解決した」という立場を貫いてきた一方、日本は拉致問題が解決していないと主張しており、平行線を辿っている。
岸田首相は最近、日本人拉致被害家族の高齢化に伴い、安倍首相時代とは違って「首相直轄のレベルで対応する」という方針を付け加えた。朝日新聞は昨年3月と5月、日本政府関係者が東南アジアで北朝鮮の朝鮮労働党関係者と秘密裏に接触したと消息筋の話として報道した。また、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」を支援する団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)は先月、被害者の両親が生きている間に拉致被害者全員の一時帰国の実現を条件に、「北朝鮮に対する日本の独自制裁の解除に反対しない」という新たな運動方針を表明した。
しかし、生存被害者はすでに全員帰国させたという北朝鮮の主張と、このような北朝鮮の従来の発表は認められないという日本の主張は、依然としてあまりにも隔たりが大きく、それを埋めるのは容易ではないと思われる。