本文に移動

米国「ガザ統治、西岸地区と統合すべき」…「穏健派」自治政府の移植、実現なるか

登録:2023-11-10 06:27 修正:2023-11-10 07:32
アントニー・ブリンケン米国務長官が8日、東京で主要7カ国(G7)外相会談後、記者会見を行っている=東京/AP・聯合ニュース

 アントニー・ブリンケン米国務長官が、イスラエルの軍事作戦が終われば、ガザ地区をパレスチナ自治政府が統治するヨルダン川西岸地区と統合すべきという考えを示した。イスラエルのガザ地区再占領を望まないという意味であると同時に、ハマスを排除してガザ地区に西岸地区の権力を「移植」することを目指す意向を示したものとみられる。

 ブリンケン長官は8日、東京で開かれた主要7カ国(G7)外相会議後の記者会見で、「衝突が終わった後、(イスラエルが)再占領してはならない」とし、イスラエルの再占領に反対の意思を明らかにした。ブリンケン長官は、ガザ地区を包囲または封鎖したり、居住者を強制移住させたり、領域を縮小することも望ましくないというのが米国の立場だと明らかにした。また、ガザ地区の未来の統治体制は「パレスチナ人が率いるべきだ」とし、「ガザ地区はパレスチナ自治政府が統治する西岸地区と統合されなければならない」と述べた。「ハマスはガザ地区を統治してはならない」という立場も改めて強調した。

 今回の発言は「衝突以降」のガザ地区の統治構造などに対する米国の基準を初めて明確に示したもの。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が6日、米国メディアとのインタビューで「イスラエルは(ガザ地区に対する)全般的な安全保障の責任を無期限で負わなければならない」と述べたことについて、米国がこれに反対するとし、その代案として示したものでもある。ブリンケン長官は、ネタニヤフ首相の発言が広げた波紋とは別に、イスラエルはガザ地区の再占領を目指していないと聞いたとも述べた。

 ブリンケン長官の同日の発言は、ハマスを完全に追放するまでイスラエル軍が作戦を続けることへの米国の原則的な支持を表すと同時に、ガザ地区の今後の統治主体として、パレスチナ自治政府を念頭に置いていることを示したものであるという点で注目される。ハマスと競争関係のファタハ率いるパレスチナ自治政府は、パレスチナ自治地域の二つのうちの一つであるヨルダン川西岸地区を統治している。ファタハはイスラエル軍が撤退した翌年の2006年、ガザ地区の選挙でハマスに敗れ、その後ハマスと物理的衝突にまで至った後、同地域では完全に基盤を失った。だが、イスラエルに順応的なパレスチナ自治政府がガザ地区を統治することになるかは不透明だ。

 ブリンケン長官はイスラエル訪問直後の4日、西岸地区を訪問し、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長と会談した。この場でガザ地区の統治案が議論された可能性がある。ブリンケン長官は今回の記者会見で、パレスチナ人がガザ地区を運営しなければならないという米国の立場は明確だとし、「唯一の質問は、過渡期のようなものが必要なのかどうかだ」と語った。これと関連し、米政府内外では平和維持軍(PKO)の派遣も取りざたされている。

 しかし、ハマスが排除されても、このような構想が順調に実現するかは未知数だ。パレスチナ自治政府は腐敗したと指摘されている上、ユダヤ人入植地の拡大などイスラエル側の暴力的な行動にまともに対応できなかったという理由で、西岸地区でも厳しく批判されている。ニューヨーク・タイムズ紙は、ガザ地区でパレスチナ自治政府が権力を回復するのは容易ではないとの見通しを示した。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1115594.html韓国語原文入力:2023-11-09 19:10
訳H.J

関連記事