イスラム武装組織ハマスのイスラエル奇襲攻撃に関与した疑いが持たれているイランの外相が、レバノンとイラクを訪問し「イスラエルがガザ地区への爆撃を続ければ、新たな戦線が開かれるだろう」と警告する発言をした。
イランのアミール・アブドラヒアン外相は12日(現地時間)、レバノンの首都ベイルートで、「パレスチナ人の移動とガザ地区の水と電気を遮断することは戦争犯罪」だと述べた。また「パレスチナとガザ地区に対する戦争犯罪が続けば、他の『枢軸』から対応を受けることになるだろう」とも述べた。アブドラヒアン外相は、他の「枢軸」については具体的に言及しなかったが、イランおよびパレスチナのガザ地区を統治するハマス、シリアのアサド政権、レバノンの武装組織ヒズボラなどを意味するものとみられる。イランは同じシーア派のヒズボラ、シーア派の分派であるアラウィ派に属するアサド政権を支援してきた。アブドラヒアン外相は、イランとレバノンとの関係を誇示しつつ、「シオニスト団体(イスラエル)とその支持者は、これに伴う結果の責任を負わなければならない」と述べた。
7日にハマスがイスラエルを奇襲攻撃した後、ヒズボラの関わりに世界の耳目が集中している。AP通信は「すべての視線はイスラエル北部の国境にあるヒズボラに集中している。イスラエルの指導者たちは焦燥感をもってヒズボラを見守っている」とし「レバノンのヒズボラがイスラエルとハマスの戦争に参加するかによって、中東情勢を再編する方向が決まるだろう」と報じた。ワシントンに本部を置く「ニューラインズ戦略政策研究所」のアナリスト、アンソニー・エルゴセイン氏は、AP通信に「イスラエルとヒズボラはいずれも深刻な武力衝突を望んでいないようだが、どちらかが判断を誤り一般的な交戦規則を超えた場合、ガザ地区に対する地上攻撃がなくても戦争が拡大する恐れがある」と語った。イランはハマスのイスラエル奇襲攻撃の決定には関与していないとしているが、西側は長きにわたりハマスを支援してきたイランが、7日のハマスの奇襲攻撃に一定の役割を果たしたという疑いを抱いている。
イランはイスラエルに対抗する中東諸国との連帯に力を入れているものとみられる。アブドラヒアン外相は、12日午前にはイラクも訪問し、ムハンマド・スダニ首相とも会談した。イラクもパレスチナの独立国家建設を支持する反イスラエル武装組織が活発に活動しているところだ。アブドラヒアン外相は「一部の国が我々に、イスラエルに対抗する新たな戦線を開く可能性があるかと聞いてきた」とし、「未来に関するすべての可能性は、ガザ地区に対するイスラエルの行動にかかっていると答えた」と述べた。これに先立つ11日、イランのエブラヒム・ライシ大統領は、シリアのアサド大統領と電話で会談し、「すべてのイスラム国家とアラブ国家が、抑圧されるパレスチナに対するシオニスト政権の犯罪を阻止するために真剣に協力すること」を訴えた。