「今回の事態はイスラエルにとって真珠湾攻撃のようなものだ」
ユダヤ人固有の祝日である仮庵の祭り以後に続いた安息日だった7日(現地時間)午前、ハマスの大々的な攻撃で、イスラエル全体がパニックに陥った。これに加え、世界最高水準の諜報能力で知られるイスラエル軍と対外情報機関の「モサド」が攻撃の兆候に気づかなかったことが明らかになり、「情報失敗」をめぐり議論が続いている。
イスラエル軍のヨナタン・コンリクス元国際担当報道官は同日、CNNとのインタビューで、「単に一つの要素ではなく、システム全体が失敗した。安全保障システム全体の構造がイスラエル市民に必要な安全保障の提供に結局失敗した」と述べた。米政府高官も7日、「(事前に)他国(イスラエル)から(今回の攻撃に対する)具体的な警告やシグナルもなかった」と明らかにした。
イスラエルは、今回の攻撃が自分たちにとって「巨大なトラウマ」として残っているヨム・キプール戦争(第4次中東戦争)開戦50年からわずか1日後に行われたという事実にさらに大きな衝撃を受けている。当時までイスラエルと敵対していたエジプトと今も対峙を続けているシリアは、ユダヤ人にとって最大の祝日である1973年の「贖罪の日」(ヨム・キプール)の10月6日、イスラエルに対する大々的な奇襲攻撃を敢行した。
イスラエルはこの攻撃で大きな打撃を受け、国難の危機に瀕した。海外メディアはこのような点を挙げ、ハマスの今回の攻撃がイスラエル市民に2001年9・11同時多発テロに匹敵する衝撃を与えたと報じた。しかし、イスラエル軍のリハルド・ヘヒト報道官はCNNとのインタビューで、情報失敗をめぐる論議について、軍は戦闘と市民の命を守ることに集中しているとし、「情報失敗問題は後で議論することになるだろう」と語った。
イスラエルが今回の攻撃を予測することも効率的に対処することもできなかったのは、ハマスの攻撃が秘密裏に予想を上回る規模で行われたためだ。イスラエルは2005年にガザ地区から撤退した後、数十億ドルをかけてハマスのロケット攻撃を防ぐための「アイアンドーム」を導入した。また、多額の費用をかけて2021年末に感知装置を備えたスマート国境システムと地下壁を構築した。それに伴い、2021年5月に発生した武力衝突の時はガザ地区では248人が死亡したが、イスラエルでは12人の死亡にとどまった。
しかし、ハマスは今回、一気に数千発のロケットを発射すると同時に、少なからぬ武装隊員がパラグライダーに乗って国境の鉄条網を越えた。イスラエルの情報機関は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右連立政権が発足した後、司法改編などをめぐって社会が二分した隙を狙って、イランとイランの支援を受ける武装組織の攻撃があるだろうと警告してきた。しかし、今回のような攻撃は予測できなかった。
ニューヨーク・タイムズ紙は、この攻撃を機に、ハマスに対するイスラエルのアプローチが根本的に変わる可能性があるという見通しを示した。イスラエルはハマスの小規模ロケット攻撃などがあった場合、アイアンドームで迎撃した後、戦闘機を動員して報復爆撃をしたり、主要指導者を密着監視して暗殺するなど「限られた対応」を行ってきた。しかし、ハマスが大規模攻撃を強行する力を備えていることが確認された以上、イスラエルも大規模地上軍を動員してガザ地区に進入する本格的な軍事対応を取る可能性が高くなった。