英国、米国、シンガポールの代表団が猛暑対処など運営上の問題点を挙げ、「2023セマングム世界スカウトジャンボリー」キャンプ場を離れる決定を下した中、ドイツやスウェーデン、スペインなど残りの国々は残留を決めた。しかし、多くの参加者が韓国の準備不足に対し残念な気持ちを示した。
5日、2200人余りの参加者を率いるドイツのスカウト代表団は、世界スカウトジャンボリーのホームページに「韓国の現状に対するドイツ代表団の声明書」を発表し、「我々は初日の予想通り大会が進まないことを確認したが、現時点で英国など一部代表団のようにジャンボリーを離れることは考慮していない」と明らかにした。ドイツ代表団は健康や衛生、食品問題など足りない点は世界スカウト組織委員会に報告しており、責任者と支援スタッフが素早く解決策を模索しているため、状況が改善されていると説明した。ドイツ代表団は「ぐったりした人もいたが、ドイツチームはこれまで深刻な問題を経験していない。ポジティブな経験をしながら今回のキャンプを続けることを望む参加者が圧倒的に多い」と明らかにした。
同日午後、フィリピン、サウジアラビア、アルゼンチンのスカウト連盟代表らも全羅北道扶安(プアン)のセマングム会場で記者会見を開き、12日まで予定された今回の行事に残留する意向を明らかにした。スウェーデン、スペイン、ベルギー、フランスなども残留する方針を示した。スウェーデンスカウト代表団は声明で、「ここにいる1500人のスウェーデン青少年にとってジャンボリーは特別な経験だ。ジャンボリーに参加できるチャンスは一生に一度だけだ」とし、「参加を中断するのは若者からチャンスを奪うことだ」と述べた。スペインから来た16歳のブランカさんは英国BBC放送に「妹が初日の暑さで病院に運ばれたが、今は回復して状態が良くなった」とし、「人々が私たちに冷たい水と扇子をくれて日陰のある場所に入るようにしてくれた」と語った。BBCは「米国と英国チームは参加者数千人を迅速に他の所に移動させるお金と資源があるが、行事会場にある国の中ではそれができない国も多い」と指摘した。
世界スカウト連盟は大会を予定より早く切り上げることを考慮するよう勧告したが、韓国スカウト連盟は大会を続けることにした。韓国政府はクーリングバスの追加配置、医療および清掃スタッフの追加派遣など緊急措置を取る予定だ。20社以上が飲み水や飲料、クーラーボックス、扇風機などを寄付した。韓国政府の支援とボランティアの活躍も残留の決定を後押しした。AFP通信は「数千個のテントで暑さに疲れた隊員たちを助けるため、現地住民たちがここに集まってきている」と報じた。
しかし、韓国の準備不足に対する批判は免れない状況だ。ジャンボリーのインスタグラム・アカウントには批判のコメントが続々と寄せられている。世界スカウトジャンボリー大会は4年に一度開催され、今回の大会は新型コロナウイルス感染症の世界的な大拡散(パンデミック)以降初めて開かれたため、参加者の期待が高かった。今年の行事には世界155カ国から4万3千人以上の青少年が参加しており、参加者の大半は14~18歳だ。彼らのうち700人余りは摂氏35度に達する猛暑で脱水などの熱中症の症状を訴え、医療的支援を受けなければならなかった。参加者の約15%がセマングムキャンプ場を離れた。特に、参加国の中で最大規模の4500人が参加した英国チームは5日、ソウルの様々なホテルに参加者を移動させた。部屋が足りず、一部はホテルの宴会場で簡易寝具を敷いて滞在していると英国メディアは報じた。1100人余りが参加した米国チームも6日、平沢(ピョンテク)の米軍基地に移動する。
英国の保護者らは猛暑のためだけでなく、施設と衛生問題、そして食事が不十分な点を指摘した。16歳の子どもをセマングムに送ったある英国人女性は5日、英日刊「ガーディアン」に「スカウトの座右の銘は『備えよ』だが、韓国政府は備えていなかった」と指摘した。彼女は「暑さは政府のせいではないが、暑さへの対策を立てることはできただろう」とし、「猛暑ではなく雨に備えていたようだ」と語った。16歳の子どもを韓国に送った別の英国人女性は「子どもがシャワー室とトイレが恐ろしく安全ではないうえ、ごみが浮いており、髪の毛で下水道が詰まったと話した」と伝えた。