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IAEA最終報告書が出る前に…汚染水放出、きょうから「試運転」

登録:2023-06-12 06:49 修正:2023-06-12 07:23
福島第一原発の敷地のタンクに保管中の放射性物質汚染水/聯合ニュース

 東京電力は、福島第一原発に保管中の放射性物質汚染水の海洋放出に向け、12日から試運転を開始する。国際原子力機関(IAEA)の最終報告が出ていないにもかかわらず、事実上、放出の日程を繰り上げている。

 東電は、今年夏の放出を前にして、12日から中心となる設備などに問題がないかを点検する試運転を約2週間実施する予定だと明らかにした。放射性物質がない水と海水を混ぜ、約1キロメートルの長さの海底トンネルを通じて海洋放出する作業を実際に進める予定だ。緊急状態が発生した場合、汚染水を止める遮断装置が正しく作動するかどうかも確認する。

 原発が位置する海岸から1キロメートルの長さで作った海底トンネルは、汚染水放出のための中心となる設備だ。海底トンネルを通じて、少し離れた場所から汚染水を放出すれば、水産物の汚染の懸念による漁民への被害を減らせるとする日本政府の考えによるものだ。試運転は約2週間ほど行われる計画だ。

 現在、汚染水放出に関しては、海に排出する前に汚染水を集めておく水槽の一部の工事だけが残っている状況。東電は今月末までにすべての工事を終わらせる方針だ。

 IAEAの最終報告も今月中に出される。IAEAは、先月29日から今月2日まで福島を訪問し、汚染水についての最後の調査を進めた。今月中に、汚染水の安全性▽原子力規制委員会の対応の妥当性▽試料調査の結果など3つの分野を包括的に含めた最終報告を発表する。日本では「何の問題もない」とする報告書が出てくると確信されており、放出の日程が進められている。

 日本政府は放出を控え漁業者に会い、詰めの説得作業に乗りだしたが失敗した。西村康稔経済産業相は10日、汚染水の放出によって直接の被害を受けることになる福島県と近隣の宮城県、茨城県など3カ所を訪問し、各地域の漁業団体関係者に汚染水放出に対する理解を求めた。

 3県の漁業者は「海洋放出に断固として反対する」と明らかにするなど、これまでの立場を守った。福島県漁業協同組合連合会の野崎哲会長は取材陣に「今後も国の説明は聞くが、(汚染水放出)反対は変わらない」と述べた。西村経済産業相は「反対の声は受け止めないといけない」としながらも「夏ごろの放出方針に変わりはない」と明らかにした。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1095385.html韓国語原文入力:2023-06-12 02:30
訳M.S

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