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ウクライナ戦争の重大な分かれ目…ホワイトハウス「大反撃の成功を確信」

登録:2023-06-06 06:28 修正:2023-06-06 07:13
ウクライナの「大反撃」始まったか
ウクライナ軍の装甲車が4日(現地時間)、ウクライナとロシアの国境地域近くを移動している。ロシア国防省は同日、ウクライナ軍がドネツク州南部地域で大規模な軍事作戦を開始したと主張した=ハルキウ/ロイター・聯合ニュース

 4日、ウクライナの春の大反撃が始まったものとみられ、これまで15カ月間続いてきた今回の戦争がもう一つの「巨大な分水嶺」を迎えることになった。ウクライナがこの勝負で昨年秋の攻勢の時のように多くの領土をとり戻すなど軍事的成功を収めれば、今後ロシアとの平和交渉で比較的に優位に立つものとみられる。しかし、攻撃が失敗したり、ロシアを過度に刺激して激しい衝突につながった場合は、今後の国際情勢は一寸先も見えない泥沼に陥る可能性もある。

 これまでウクライナに350億ドル以上の莫大な軍事支援を行ってきた米国は、ウクライナの大攻勢が成功するという楽観的見通しを示した。ホワイトハウスのジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は同日、CNNとのインタビューで「私たちはこの反撃作戦が成功すると信じている」とし、「反撃作戦でウクライナがロシアから戦略的な要衝を奪還できるだろう」と述べた。さらに「ウクライナが戦場でできる限り最大の進展を成し遂げ、交渉テーブルで強力な立地を確保するよう後押ししたいと思っている」と付け加えた。

 サリバン補佐官の発言から、米国が今回の大反撃を通じて望むのはウクライナがロシアを戦場で完全に敗退させる「最終的な勝利」ではなく、領土のかなりの部分を取り戻し、今後の平和交渉で交渉力を高める「限定的な勝利」であることが分かる。サリバン補佐官は「(ウクライナの)ウォロディミル・ゼレンスキー大統領も戦争は究極的に外交を通じて終結すると述べた」としたうえで、「戦争は予測不可能であるため、(交渉の)日程表を示すことはできない」と述べた。マイク・ターナー米下院情報委員長も同日、ABCとのインタビューで、反撃作戦の見通しは「非常に楽観的だ」と語った。さらに「ウクライナ軍はまもなく始まる攻撃について準備を整えており、訓練されており、装備を備えているが、ロシア軍はそうではない」と主張した。

 同日、ウクライナの大規模攻撃が集中した地域はドネツク州南部地域と確認された。同地域はロシア本土とロシアが2014年3月、自国に一方的に併合したクリミア半島を陸地でつなぐ戦略上の要衝だ。2014年から「ドネツク人民共和国」が一部地域を統制してきており、昨年2月末に戦争が始まってから同年5月まで続いた凄絶なマリウポリ攻防戦を経て、ほぼ全域がロシア軍の統制下に入った。ゼレンスキー大統領など主要当局者が何度も明らかにしたように、ウクライナが最終的にクリミア半島まで奪還するためには、同地域を必ず手に入れなければならない。

 今回の攻撃を主導しているのは、米国と欧州が提供した地上戦兵器で武装した部隊とみられる。ワシントン・ポスト紙は同日、ウクライナの大反撃を予測する分析記事で、この作戦ではドイツの北大西洋条約機構(NATO)軍基地で訓練を受けたウクライナ軍の第47独立機械化旅団が先鋒に立つと報じた。同紙は、同旅団兵力はここ数カ月間訓練を受け、NATO側の最新戦法を身につけたうえ、ブラッドレー装甲車などNATOが提供した兵器で武装していると報道した。同旅団をはじめとする攻撃部隊は最近、戦線付近の未公開地域に配置された。ウクライナのオレキシー・レズニコフ国防相も4日、NHKとの単独インタビューで、大規模な反撃攻勢と関連して「この夏は、残念ながらF16戦闘機なしで続けなければならない。地上のすべての装備品を使う」と述べた。

 ウクライナ軍はさらに同日、ドネツク州南部と隣接していないクリミア半島とロシアのベルゴロド州に対するドローン攻撃も行った。ドネツク州南部に戦力を集めることによってロシア軍の兵力が集中するのを防ぐために、他地域への攻撃を並行する作戦が続く可能性が高い。

 ロシア国防省は同日、ウクライナ軍の鋭鋒をくじいたと発表した。今後の戦況がどのように展開されるかを予測するのは容易ではないが、ロシアが簡単には退かないことは明らかだ。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、昨年8~9月にロシア軍が東部ハルキウ州と南部ヘルソン州でウクライナの反撃を許した後、「核兵器使用」をちらつかせ、予備役30万人を動員する部分的動員令を下した。ウクライナが軍事的に成功すればするほど、戦争拡大の可能性が大きくなり、人類が第3次世界大戦の脅威に直面する「苦しいジレンマ」に陥りかねない。

シン・ギソプ先任記者、ワシントン/イ・ボニョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1094697.html韓国語原文入力:2023-06-06 02:43
訳H.J

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