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汚染水処理の一部設備のみ見せた日本、「韓国は水産物の輸入再開を」本音あらわに

登録:2023-05-24 06:37 修正:2023-05-24 11:31
福島第一原発敷地のタンクに保管されている放射性物質汚染水/AP・聯合ニュース

 韓国専門家視察団が23~24日、東京電力福島第一原発を訪問し、汚染水の放流現場の点検を開始した。日本ではこの機会を通じて汚染水の安全性に対する韓国内の理解が深まることへの期待感が高まるとともに、福島産水産物に対する輸入停止措置の解除まで取りざたされている。韓国視察団が汚染水の安全性を納得すれば、福島産農水産物の輸入再開を求める考えを露骨に示したものだ。

 ユ・グクヒ原子力安全委員長を団長とする韓国視察団は23日午前、福島第一原発の現場を訪問し、汚染水から放射性物質を基準値以下まで除去する主要設備である多核種除去設備(ALPS)、汚染水を海洋放流する前に放射性物質を測定する「K4」タンク(全1060基中10基)、海洋放出に必要な全体的な過程を制御する監視制御室などを確認したと明らかにした。 特にK4タンクに対しては「濃度を測定する部位なので、どれだけ均質に水が混ざって濃度が正確に出るかを集中して見た」と述べた。視察の過程で「資料や是正措置は要請したか」という質問には「今日の点検で質疑応答があり、それにともなう色々な要請をした」と答えた。

 21日に日本に到着した視察団は、ユ団長と韓国原子力安全技術院(KINS)の原発・放射線専門家19人、韓国海洋科学技術院(KOIST)の海洋環境放射能専門家が1人の計21人で構成されている。初日の視察は午前10時から午後7時まで続いた。しかし、日本政府が見せたい施設だけを見て回るなど、あまりにも限界が明確であり、この程度の視察ではALPSの性能と汚染水の安全性を確認することは難しいという懸念の声が視察団訪日前から絶えなかった。

福島汚染水専門家の現場視察団長であるユ・グクヒ原子力安全委員長が21日午前、仁川国際空港第2旅客ターミナルを通じて日本に出国する前、取材陣の質問に答えている/聯合ニュース

 韓国視察団の現場訪問を待っていたかのように、日本政府当局者らは口をそろえて汚染水の安全性とともに水産物輸入禁止措置の解除の必要性を強調した。

 松野博一官房長官は同日午前の定例記者会見で、韓国視察団に関する質問に「経済産業省も同席のもとで、東京電力から説明を行う予定」だとし、「この視察を通じて韓国国内におけるALPS処理水の海洋放出の安全性について理解が深まるよう努めていく」と述べた。主務省庁の西村康稔経済産業相もこの日の閣議後の記者会見で「国際社会に対し、様々な機会を通じて(汚染水の海洋放出について)科学的根拠に基づき、透明性を持って説明している」としたうえで、「韓国の専門家による視察においても丁寧に説明し、安全性への理解が深まることを期待している」と付け加えた。

 野村哲郎農林水産相は、韓国で敏感に受け止めている問題である福島産農水産物の輸入再開に直接触れた。野村農相は同日の閣議後の記者会見で「韓国は福島や宮城など8つの県のすべての水産物の輸入を停止している」とし、「今回の視察は処理水の調査が中心だと聞いているが、それに加えて輸入制限の解除についてもお願したい」と述べた。NHKは「政府としては(韓国に対し)水産物などの輸入停止の解除も働きかけたいという考えを示した」と報じた。日本政府は来月、国際原子力機関(IAEA)の汚染水関連最終検証報告書が出れば、これを根拠に今年7~8月に放出を強行する方針だ。

東京/キム・ソヨン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/1092960.html韓国語原文入力:2023-05-24 02:05
訳H.J

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