韓日の財界を代表する韓国全国経済人連合会(全経連)と日本経済団体連合会(経団連)が「韓日・日韓未来パートナーシップ基金」(以下、未来基金)の具体的な事業を決定する運営委員会の構成に合意した。だが、強制動員被害者賠償問題に関する韓国の「一方的譲歩案」に対し、日本の「誠意ある呼応」措置として設けられたこの基金に、被告企業をはじめ参加を確定した日本企業はまだないことが分かった。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領の譲歩案が、被告企業に完璧な「免罪符」を与える案に転落する危機に瀕している。
全経連のキム・ビョンジュン会長職務代行と経団連の十倉雅和会長は10日昼、東京都千代田区の経団連で共同記者会見を開き、「未来志向的な韓日・日韓関係構築に向けた取り組みの一環として、3月16日に韓日・日韓未来基金を創設し、基金を通じた共同事業の具体的な取り組みなどについて検討を重ね、運営委員会と諮問委員会の設置に合意した」と明らかにした。
合意内容によると、未来基金運営委員会共同委員長は全経連のキム・ビョンジュン会長職務代行と経団連の十倉会長が引き受ける。委員には、韓国からキム・ユン全経連副会長(三養ホールディングス会長)、イ・ウンヨル全経連副会長(コーロン名誉会長)、ペ・サングン全経連専務が、日本から佐藤康博経団連副会長(みずほフィナンシャルグループ特別顧問)、東原敏昭経団連副会長(日立製作所会長)、久保田政一経団連副会長・事務総長が就任する。諮問委員長には高麗大学のカン・ソンジン教授と早稲田大学の深川由起子教授が選ばれた。
韓国が未来基金に特に注目しているのは、尹大統領が3月6日に出した譲歩案に対して日本が呼応するという意思を示した事実上唯一の事業であるためだ。だが、それから2カ月が過ぎたにもかかわらず、日本製鉄や三菱重工業など被告企業はもちろん、他の日本企業もまだ参加の方針を示していない。被告企業は、原告への賠償金を肩代わりする日帝強制動員被害者支援財団への「自発的寄付」をしてほしいという要請を拒否した。これらの企業が未来基金にも参加しなければ、韓国の譲歩は日本の呼応を引き出せない悲惨な失敗に終わることになる。
しかし、キム・ビョンジュン会長職務代行は被告企業の擁護に腐心していた。キム代行は、未来基金に日本製鉄などが参加するかどうかを問う韓国記者団の質問に「三菱と日本製鉄の寄与の有無に関する質問が続いているが、これは未来志向的基金であるため、そのような質問をすればするほどこの基金の意味が色あせてしまう」と述べた。被告企業の参加は関心事ではないと強調したのだ。十倉会長も「事業内容によって日本企業の参加を要請する。両企業を必ず入れなければならないとか排除するつもりはない。事業への参加は企業の判断に任せる」と答えた。
全経連と経団連は10億ウォン(約1億円)ずつ出資した基金で、若い人材交流の促進と産業協力強化事業を進める計画だ。両団体は両国大学間の交流強化、韓国の高校教員の日本への招聘、インターンシップなどを進めることにした。また、経済安保環境の整備▽自由で開かれた国際秩序の維持・強化▽グリーントランスフォーメーション、デジタルトランスフォーメーションの実現▽産業の国際競争力強化などにおいて協力する方針だ。このように事業の大まかな方向性を定め、具体的な内容はこれから議論する予定だ。両団体は7月6日、ソウルで「韓日・日韓産業協力フォーラム」を共同開催し、半導体、脱炭素に向けた取組みなどについて議論を深める計画だ。