米国が韓米首脳会談を翌日に控え、韓国に大きな負担を強いる問題について、「韓国が決める問題」という態度を一変させ、自国の要求に従うよう求める態度を示している。首脳会談を目前に控えた水面下の交渉で「ウクライナへの兵器供与」や「対中国包囲網への参加」などと関連し、より露骨な要求を並べたものとみられ、会談後に韓国が背負いきれない重荷を負わされるのではないかという懸念が高まっている。
米政府高官は25日(現地時間)の記者会見で「ウクライナに対する韓国のさらなる支援を期待しているというが、正確には何を望んでいるのか」という質問に対し、ロシアに侵攻されたウクライナの状況を朝鮮戦争(1950~1953)に例えた。同高官は「韓国人が戦争で何を経験したのかを考えてみてほしい」とし、「ウクライナ支援のために団結する国際社会の重要性を(韓国より)よく分かっている国はないだろう」と答えた。さらに「戦争が続く中、ウクライナ人が必要とするものに限界はない」とし、「私たちは韓国の(追加の)支援がどのような姿なのか知りたい」と述べた。また「次は韓国が何を支援するかについて、両指導者の間で実質的な議論があるだろう」とも語った。
ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安保補佐官が前日の記者会見で、今回の首脳会談を通じて「ウクライナはおそらく対話の重要なテーマになるだろう」と発言したことから一歩踏み込み、韓国が「殺傷能力のある兵器」を積極的に供与すべきという要求をより直接的に表現したのだ。米当局者らは、流出した機密文書で韓国国家安保室がウクライナに砲弾を支援する問題について議論した事実が知られた8日以後、「2億3千万ドル規模の支援に対し、韓国に感謝する」という立場を表明してきた。また、支援を続けるかどうか、また何を支援するかは「韓国が決める問題」だと述べてきた。
ところが、首脳会談を目前にしてからは、支援品目まで話し合われるだろうと「本音」をあらわにしたわけだ。「殺傷力のある兵器」という表現こそ使わなかったものの、発言の流れからみて、これに関連した「実質的な議論」が首脳レベルで行われるものとみられる。
米政府は、「中国が米国の半導体メーカー『マイクロン』を制裁した場合、中国の半導体不足分を韓国企業が補わないこと」を韓国に要求したというフィナンシャル・タイムズの23日付の報道をめぐっても、似たような態度を示している。ホワイトハウスのジョン・カービー国家安保会議(NSC)戦略広報調整官は翌日の24日、同報道に対する質問に「韓国政府が決める問題」だと答えた。米国務省のベダント・パテル副報道官も25日の記者会見で、対中半導体輸出統制などに参加するかどうかは「最終的には韓国が決める問題」だと述べた。しかしカービー調整官は25日、韓国の記者に対し、「経済安保」をめぐる韓米の協力には「半導体と関連した投資を調整することと、経済的圧力に対して重要な技術を守る努力」が含まれると述べた。やはり「韓国が決める問題」という態度から一歩踏み込んで、対中圧力に積極的に参加すべきというメッセージを送ったものといえる。結局、米国が韓国の外交的・経済的自律性に関わる二つの事案について、「韓国が決める問題」という態度を示したのは、韓国の判断を尊重するというよりも、米国の要求に呼応するかを見守るというニュアンスを込めたものとみられる。米国の要求を受け入れれば中ロとの摩擦が避けられず、断ると同盟関係にひびが入るという困難な状況に追い込まれたわけだ。