尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が就任後初の三一節(独立運動記念日)記念演説で、日本を「普遍的価値を共有し、安全保障と経済、グローバルな議題において協力するパートナー」と位置づけたことを受け、日本政府も「韓国は協力していくべき重要な隣国」だと述べた。日本のメディアも尹大統領が両国の最大懸案である強制動員被害者賠償問題に言及しなかったことと、対日関係の重要性を強調したことに注目した。
松野博一官房長官は1日午後の定例記者会見で、尹大統領の三一節記念演説について「韓国は国際社会における様々な課題への対応に協力していくべき重要な隣国」だと述べた。さらに「国交正常化以来築いてきた友好協力関係の基盤に基づき、日韓関係を健全な形に戻し、さらに発展させていくため、韓国政府と引き続き緊密に疎通していく考え」だと付け加えた。尹大統領は昨年5月の就任以来、北朝鮮の核危機が高まった現実などを取り上げ、一貫して韓米日3カ国協力と安全保障分野における韓日協力の必要性を強調してきた。
日本のメディアも日本に反省的な歴史認識を持つことを求めてきた歴代韓国政府の三一節記念演説とは全く違う今年の演説を肯定的に評価した。読売新聞は尹大統領と前政権の記念演説を比較し、「『3・1独立運動』の式典で歴代大統領は日本に注文を付けることが多かった。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は昨年、『(日本は)歴史を直視し、謙虚にならねばならない』などと主張していた」とし、尹大統領は今回の演説で「日本をけん制の対象ではなく、協力のパートナーと明確に位置付けた」と意味付けた。日本経済新聞も「(尹大統領は)演説では元徴用工問題に直接触れず、韓国を取り巻く安保環境の変化を取り上げて対日関係の改善の重要性を強調した」と報じた。産経新聞も「日本に対する批判や、政策や懸案に関する直接的なメッセージはなかった」と報道した。同紙は「韓国で例年3月1日は民族主義や反日感情が高まる節目の日だが、尹氏は独立運動家が求めた『自由』というキーワードから、日本とも共有できる『普遍的価値』をすくい取り、日米韓の連帯に結び付けようとした」と評価した。
尹大統領は同日の三一節記念演説で「3・1運動から1世紀が過ぎた今、日本は過去の軍国主義侵略者から韓国と普遍的価値を共有し安保と経済、グローバルな議題において協力するパートナーに変わった」と強調した。