本文に移動

使っていた酸素呼吸器を外して隣の患者に…大地震が大きな爪痕残したシリア

登録:2023-02-08 06:15 修正:2023-02-08 08:05
内戦に大地震が重なり、病院も麻痺 
「廊下まで患者で溢れている」支援呼びかけ
6日(現地時間)、シリア反軍が占領した地域である北部イドリブ地域の病院救急室に地震で負傷した子供が運ばれている=イドリブ/AFP・聯合ニュース

 10年以上続いた内戦で廃墟と化したシリア北部のイドリブ地域が6日(現地時間)、近隣のトルコ南東部で発生した強力な地震被害まで重なり、最悪の災害に見舞われた。

 トルコのガジアンテプ地域で6日午前4時17分頃、マグニチュード7.8の強い地震が発生した後、一日中余震が続き、近隣のシリア北部都市も大混乱に陥った。同日、一日中現地の病院に負傷者が押し寄せ、病院が麻痺状態に陥ったと、AP通信が報じた。

 母親たちが負傷して泣く子どもたちをなだめる姿が病院のあちこちで目撃され、顔に擦り傷を負って治療を待っていたある男性は、隣人の多くが命を落としたと涙声で話した。病院の近くの4階建てのマンションに住んでいたが、妻と4人の子どもとともにかろうじて抜け出したというこの男性は「他の階に住む人々は誰も出られなかった」とし、「神様が私に新しい人生を許してくださった」と語った。

 近隣都市イドリブの病院も負傷者が殺到し、麻痺状態に陥った。この地域で7年間医療活動を続けている英国人医師シャズール・イスラムさんは、この日が最悪の日だったと話した。彼は「ある患者が使っている酸素呼吸器を外して他の患者に使うことを繰り返している」とし、「生存可能性によって治療する患者を選ばざるを得ない状況」だと語った。

 彼は長い内戦の渦中にインフラが破壊され、支援金も減ったため、病院運営が容易ではないと伝えた。さらに「多くの病院が戦争のため閉鎖された。私が知る限り、4つの病院のうち3つは運営を中断した」と付け加えた。

 イドリブ地域は2012年11月、シリア政府軍に対抗する反軍が占領して以来、これまで政府軍と反軍の戦闘が続いている。最近までもイスラム過激団体アルカイダの分派勢力でトルコが後援する「シリア臨時政府」が、ロシアの支持を受ける政府軍と時折戦闘を繰り広げてきた。

 反軍地域では多くの避難民が臨時住居で生活しており、政府が統制する近隣地域の住民の多くも爆撃などで破壊された建物で暮らしているため、被害がさらに大きかった。英国に本部を置く「シリア人権観測所」は、シリア北部地域の58カ所の村が地震被害を受けたと伝えた。反乱軍が占領した地域だけで、6日夜までに少なくとも733人が死亡し、2100人が負傷したとされ、時間が経つにつれ被害規模はさらに拡大するものと懸念されている。

 非政府救護団体「ノルウェー難民委員会」の中東担当責任者、カルステン・ハンセン氏は、この日声明を発表し、「今回の災害で深刻な人道危機に直面したシリア人の苦しみがよりいっそう深まるだろう」とし、「数百万人が戦争のために家を離れたのに、災害のため再び多くの人があちこちを転々とする生活を余儀なくされることになった」と警告した。シリア北部とトルコ南部で病院を運営している「シリア米国医学協会」も声明を出し、この地域の病院では廊下まで患者があふれている状況だとしたうえで、外傷治療用品と救護品の緊急支援を要請した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1078597.html韓国語原文入力:2023-02-07 21:23
訳H.J

関連記事