日本の野党第一党の立憲民主党は、日本が北朝鮮や中国など周辺国のミサイル基地を直接打撃する「敵基地攻撃能力」(反撃能力)保有を決めたことと関連し、「先制攻撃となるリスクが大きいため、賛成できない」と見解をまとめた。ただし、日本政府が攻撃兵器として使用する予定の長距離巡航ミサイルについては「必要だ」という立場を示した。
立憲民主党は20日、安保政策に対する党の見解をまとめた「外交・安全保障戦略の方向性」を発表した。立憲民主党は岸田文雄内閣が16日に閣議決定した「敵基地攻撃能力」の保有について「正確な着手判断は現実的には困難であり、先制攻撃となるリスクが大きい」として「賛同できない」という立場を示した。日本政府は敵基地攻撃について、相手(敵)が武力攻撃に着手したときに可能だとし、「武力攻撃の着手時点は国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様などを考慮して個別に判断する」と説明している。
立憲民主党は、日本政府の決定には問題があるが、「攻撃能力」自体を否定するものではないと説明した。同文書をまとめた玄葉光一郎元外相は記者団に対し、「専守防衛に適合すれば認めていくし、そうでなければ認めない。必ずしも否定しているものではない」と述べた。立憲民主党は「敵基地攻撃能力」と関連し、文書で「政策的な必要性と合理性を満たし、憲法に基づく専守防衛と適合するものでなければならない」と明記した。日本政府が攻撃能力の強化のために1000発以上導入する予定の長距離巡航ミサイルについては、その必要性を認めた。立憲民主党は「外交・安全保障戦略の方向性」で、「軍事的侵攻を抑止し、排除するためのミサイルの長射程化など、ミサイル能力の向上は必要」という立場を示した。
立憲民主党内ではこのような見解をまとめるまで、少なからぬ議論があったという。毎日新聞は「立憲執行部は反撃能力の一部容認を閣議決定までに表明することを目指したが、議論が煮詰まらず断念した」とし、「見解を取りまとめる過程をたどると、理想と現実のはざまに揺れる立憲の苦悩が浮かび上がった」と報じた。