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ロシア「マリウポリ港、穀物輸送再開を準備」…世界的な食糧危機に対処か

登録:2022-06-09 10:40 修正:2022-06-09 12:16
ロシアのショイグ国防長官「プーチンの指示」 
占領中の二つの港を運営することを明らかに 
トルコ「人道主義海路」で仲裁に乗り出したが 
ウクライナ「ロシアが悪用する可能性」で懐疑的
先月30日、ロシアが占領したマリウポリの港で貨物船への積みこみ作業が進められている=ロイター・聯合ニュース

 黒海封鎖によって世界的な食糧危機を引き起こしていると非難を浴びているロシアが、占領中のウクライナ南東部のマリウポリの港で穀物輸送を再開する準備ができていると明らかにした。これとは別に、トルコが黒海の人道主義に基づく海上ルートを開設するための外交努力を傾けているが、穀物輸出の道が開かれるのは容易ではなさそうだ。

 ロシアのセルゲイ・ショイグ国防長官は7日のテレビ会議で、ウクライナの主要港であるマリウポリとベルジャーンシク港は正常に運営されているとし、「最高指導者(ウラジーミル・プーチン大統領)の指示どおり、我々はこれらの港で穀物を船に積む準備ができている」と述べた。ショイグ長官が言及した二つの港は、黒海の北部海域のアゾフ海に位置し、現在ロシアが占領している。

 ただ、この二つの港が位置するアゾフ海は水深が比較的浅く、穀物輸送のための大型船舶の接岸には適していないという評価が出ている。これまで大型の穀物運搬船は、黒海西側の港であるオデーサを利用してきた。現在、この港はウクライナが管理しているが、ロシアによって封鎖されている状態だ。ウクライナは2020~21年の輸出時期には4150万トンの小麦とトウモロコシを世界に供給したが、95%がオデーサ港など黒海沿岸港を通じて輸出された。

 2月末に戦争が始まって以来、主要な穀物輸出国であるロシアとウクライナの穀物をアフリカと中東に運んでいた黒海航路が封鎖され、世界的な食糧難が現実化している。米国などは、ロシアが海上封鎖によって穀物輸出を阻んでいると批判しているが、ロシアはウクライナが設置した機雷が問題だと反論している。また、プーチン大統領などロシア当局者たちは、これまで数回にわたり、封鎖を解くための条件として西欧が賦課した経済制裁の解除が必要だという立場を明らかにしてきた。

 6日には欧州連合(EU)のシャルル・ミシェル欧州理事会議長が、国連安全保障理事会で、ロシアの海上封鎖などが世界的食糧危機をもたらしたと非難し、ロシアのワシリー・ネベンジャ国連大使が席を蹴って退出している。ロシアがこの問題をどれほど敏感に受け止めているかが分かる。

 黒海を出発した船舶が地中海へと抜けるために通らなければならない二つの海峡を管理するトルコは、人道主義に基づく海上ルートが開設されれば、トルコが輸送船を護衛することも可能だとし、仲裁に乗り出している。トルコ国防省は、フルシ・アカール国防長官とロシアのショイグ国防長官が6日、電話で「食糧危機と関連して穀物、ひまわりの種、そしてその他の農作物の安全な運送のための措置が強調された」と明らかにした。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相も8日、トルコの首都アンカラを訪問し、トルコと穀物輸出のための海上ルート問題について会談する予定だ。

7日、ウクライナのパランカから小麦を積んだトラックがモルドバ国境地帯に移動している。ウクライナに侵攻したロシアの海上封鎖により、ウクライナは小麦などの穀物輸出に困難を来たしている=パランカ/EPA・聯合ニュース

 ウクライナはトルコの仲裁努力に対しては感謝の意を明らかにしたが、機雷除去を要求するロシアには反発した。ウクライナ外交部は7日、声明を出し「ロシアが最近ミコライウの穀物(輸出)ターミナルにミサイル攻撃を行ったことからしても、ロシアがこの通路(穀物輸出用の人道主義海上通路)をオデーサと南部ウクライナへの攻撃のために利用しうるという点を排除できない」とし「この問題についていかなる合意もなかったことを強調する」と明らかにした。

 ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、黒海封鎖のせいでウクライナに積みあげられている穀物が現在2200万~2500万トンあり、秋には7500万トンに達する可能性があると明らかにした。そして、安全な海上運送のために国連とトルコなどと協議しているが、最も効果的な方法は武装だとし、「我々は特定国家と特定の対艦(兵器)システムについて協力している。これが最善の(海上安全)保障だ」と述べた。

 両国が人道主義的な海上ルートの開設にかろうじて合意したとしても、機雷除去という難関が残る。英ガーディアン紙は、ウクライナの高官らの話として、黒海の港周辺海域に設置された機雷を除去するだけで6カ月かかると伝えた。

チョン・ウィギル先任記者、チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1046267.html韓国語原文入力:2022-06-09 08:35
訳C.M

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