ロシア軍がウクライナ東部のルハンシク州でウクライナ軍の補給路を一時占領するなど、同地域内のウクライナ軍最後の拠点が陥落する危険性が高まっている。ウクライナ政府は東部地域で深刻な困難に直面したとし、西側諸国にさらなる兵器支援を求めた。
ウクライナ軍当局は、ルハンシク州の主な拠点のセベロドネツクとリシチャンスクに対するロシアの攻撃が日増しに激しくなっているとし、両都市近隣のもう一つの拠点であるバーフムトから10キロメートル離れた村までロシア軍が掌握したと発表した。米CNNの報道によると、バーフムトは、セベロドネツク戦線で戦っているウクライナ軍の補給路が通る主要地点だ。
ロシア軍はセベロドネツクおよびリシチャンスクと外部をつなぐ高速道路を一時占領するなど、ウクライナ軍の補給路遮断にも力を注いでいる。ロイター通信が報道した。ルハンシク州のセルヒ・ガイダイ州知事は、ロシア兵士50人が高速道路に検問所まで設置したが、反撃に遭い後退したと伝えた。ガイダイ州知事は「今はロシア軍が高速道路を掌握している状態ではないが、高速道路に砲撃を続けている」と述べた。また、ウクライナ軍が村の1、2カ所から退くなど、徐々に一時後退していることが明らかだとも付け加えた。
ロシア軍はセベロドネツク南側地域のポパスナとスビトロダルスクを掌握し、セベロドネツクに対する包囲網を狭めている。セベロドネツクとリシチャンスクは、シベルスキドネツ川を挟んで向かい合っている都市で、ルハンシク州でウクライナ軍が統制している最後の拠点だ。両都市がロシア軍に占領されれば、ルハンシク州全体がロシアの手中に落ちることになる。
ロイター通信は、ウクライナ第2の都市ハルキウからしばらく後退していたロシア軍が再び攻撃に転じたと報じた。ロシア軍のこのような動きは、東部戦線に向かうロシア軍の補給路を保護するためのものとみられる。ハルキウ州のオレグ・シネグボウ州知事は、ロシア軍がハルキウ州の北部地域に駐留し、ハルキウ市内に砲撃を加えて、生後5カ月の子どもなど9人の民間人が死亡し、17人が負傷したと述べた。
東部の戦況が厳しくなったウクライナ政府が西側諸国に追加兵器支援を要請したことを受け、米国は射程距離最大500キロメートルのミサイルシステム支援も考慮している。ロイター通信が報じた。同通信は米政府高官の話として、米国が射程距離最大40キロメートルの「M777曲射砲」を含め、攻撃距離が長い兵器を支援する意志を示していると報じた。米国は射程距離最大500キロメートルの多延長移動型ロケットシステム支援も検討しているという。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は同日、ツイッターへの書き込みで「多連装ロケットシステムなしではロシア軍を撃退できない」とし、さらなる兵器支援を求めた。
ただし、ロイター通信によると、攻撃距離が長い武器を支援する場合は戦争がさらに激化する可能性があるとみられており、米国とウクライナ関係者がこの問題を協議しているという。ある米高官は同通信に「(長距離兵器を支援すれば)戦争がさらに激化する恐れがあるが、支援兵器の使用地域を制限する考えはまだない」と述べた。