ロシアがマリウポリで最後まで抗戦していたウクライナ兵力が全員投降したと主張している中、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は外交によってウクライナ戦争を終結させる意思を示した。
ゼレンスキー大統領は21日、テレビ演説を通じて、ウクライナ軍が戦争で勝利しているとしながらも、戦争は「交渉テーブル」でのみ最終的に終結できると強調した。そして、「我々はこの戦争を始めたわけではないが、我々が終わらせなければならない」とし、「流血が起こり、交戦はあるだろうが、外交を通じて終結されるだろう」と述べた。
そして、「ロシアが侵攻を始めた以前の水準を回復することがウクライナの勝利だ」とし、「これは我々の全領土の返還を意味するものではないが、次の段階に移るだろう」と述べた。
これは、ゼレンスキー大統領が終戦と平和交渉で領土問題と関連してこれまでの立場を緩和したものと言える。ロシアとウクライナは3月29日、トルコが仲裁した平和交渉で、ウクライナの中立化などを原則とした終戦と平和協定に合意したが、ブチャ虐殺が浮上し、交渉は空転してきた。イスタンブールでの平和交渉の直前、ゼレンスキー大統領は「住民の命と領土の両方を確保することはできない」とし、領土問題において柔軟な立場を示した。しかし、ブチャ虐殺後、平和交渉を持続する環境ではないとし、領土問題でも原則的立場に旋回した。
前日、ウクライナの交渉代表であるミハイロ・ポドリヤク氏は、交渉は中断状態だと述べた。ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、ウクライナ当局が敵対行為を終わらせる会談の持続を望んでいないと非難した。双方の交渉者は4月22日以降会っていない。
ゼレンスキー大統領が同日再び平和交渉に対する意志を示したのは、最近マリウポリ陥落などで戦況が大きく動いたことと関連があると、BBCは分析した。ロシアはマリウポリに投入された兵力をドンバス地域の戦線に送り、攻勢を強化できるようになった。これに先立ち、ロシア国防省のイーゴリ・コナシェンコフ報道官は20日、「マリウポリのアゾフスタリ鉄鋼工場団地に最後まで残った531人が投降したことで、16日以降、この工場で降伏したアゾフ大隊などウクライナ軍所属のナチスは計2439人に達する」と発表した。
ウクライナの戦況をマスコミに提供している米国の戦争研究所はこれと関連して、ロシア軍がドンバス地域のルハンシク州のセベロドネツクを包囲して陥落させるため、攻勢を強化していると明らかにした。同研究所は「ルハンシクのロシア軍は最近、ここでの進展した戦況を固め、ルハンシクで最後のウクライナ防御線であるセベロドネツクを包囲しようとするだろう」と予測した。
ウクライナ・ルハンスシク州のセルギー・ガイダイ知事はテレグラムのメッセージで、ロシア軍がセベロドネツクを包囲して破壊しているとしながらも、ウクライナ軍が戦線でロシア軍の11回の攻撃を撃退したと明らかにした。
一方、ロシアはスウェーデンとともに北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請したフィンランドへのガス供給を完全に中断した。ロシアの国営エネルギー会社「カズプロム」は、21日午前4時を期してフィンランドへのガス供給を完全に中止したと発表した。カズプロムは代金をルーブル貨で支払うよう求めたが、フィンランドがこれに応じなかったとして、ガス供給を中断した。これに先立ち、ロシアは14日、フィンランドに送電していた電気供給を止め、フィンランドのNATO加盟申請に対する報復措置を始めた。