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「韓国チームが転んで感激」中国選手の4年前の発言を韓国メディアが最近の発言と誤報

登録:2022-02-10 06:16 修正:2022-02-10 07:19
「中央日報」や「ニュース1」など、7日の発言で誤って報道 
当時も「不適切発言」との批判の声
2018年2月23日に中国の中央テレビで放送されたショートトラックの中国代表チームとのインタビュー場面。任子威選手(右から3人目)が「韓国チームが転んだこと」と発言している=ユーチューブ画面より//ハンギョレ新聞社

 北京冬季五輪ショートトラック競技で、韓国選手が釈然としない判定で相次いで失格したことで反中感情が高まる中、中国選手が4年前に行った韓国選手団を嘲弄するような発言が、最近の発言と誤って報道されるなど、過熱の様相を呈している。

 8日の「中央日報」や「ニュース1」など韓国の複数のメディアは、ショートトラックで2冠王に輝いた中国の任子威が7日の試合後に行った記者団とのインタビューで、「(競技で)一生記憶に残る瞬間は何だと思うか」という質問に対し、「韓国チームがこけたことだ。とても感激した」と答えたと報じた。これに取材陣が笑うと、任子威は「なぜですか。あまりにもありきたりですかね」と問い返したという内容も報道された。

 任子威が相手選手のミスを「一生記憶に残る瞬間」と挙げたのも適切ではなかったが、あえて「こけた」という表現を使っていたことが分かり、彼に対する批判世論が高まった。一部メディアは「こけた」の代わりに「転んだ」と表現した。

 しかし、任子威のこの発言は、今大会ではない4年前の2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪の時に出たインタビュー内容であることが確認された。最近、任子威が2冠を達成すると、中国メディアが4年前の動画を再び取り上げたことで、混乱が生じたものと見られる。

 任子威は平昌冬季五輪が終わった2月23日、中国官営放送「中国中央テレビ」(CCTV)のある番組に中国ショートトラック代表選手5人と共に出演した。ここで上のようなやり取りが行われた。中国チームは前日の22日、男子ショートトラック5000メートルリレー決勝でハンガリーに続き2位になり、韓国チームはイム・ヒョジュン選手が競技中に転倒し、メダルを逃した。当時、ショートトラック種目で韓国は金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル2個を獲得し、中国は金メダル1個、銀メダル2個にとどまった。

 当時のやり取りを見ると、司会者が任子威に「一生記憶に残る瞬間は何か」と尋ねると、任子威は「韓国チームが転んだことです(韩国队摔倒)」と答えた。これについて司会者はもちろん、ほかの選手も笑い出し、司会者は「ハンガリー選手がリードしている時だと言うべきではないのか。韓国選手が転倒したのではなく」と言うと、任子威は「僕、俗物ですかね(俗吗? 我?)」と答えた。これに対して司会者は「いいえ。それが本音だろう」と述べた。

 任子威は当時、競技直後にも銀メダルを取った感想を聞く中国記者の質問に似たような発言をした。「非常にうれしい。韓国人選手が転倒し、その後は中国人選手しかいなかった」と話した。

 当時の任子威の発言について、韓国メディアは不適切だと報じており、中国メディアも任子威が「ストレートな」受け答えで波紋を起こしたと指摘した。

 韓国の民主言論市民連合のシン・ミヒ事務処長は「コメディーに近い誤報がまた出た」とし、「中国のインターネットなどに出回っている映像を確認もせずに記事化し、他のメディアが誤報を書き写す慣行が繰り返されているようだ」と指摘した。ポータルに送信されたニュースの時間帯を見ると、この任子威の発言を取り上げた記事は8日、ある通信社に続き、日刊紙1社がデジタルニュースとして載せた後、他のメディアの報道が相次いだ。さらに、日刊紙の中で真っ先にこの誤報を掲載したメディアのホームページでは、2018年当時の任子威の同様の発言を批判する記事も検索できる。

 シン処長は「中国にも確かに問題があるが、メディアが過度な反中、嫌中感情を煽っているのではないかと思うほど報道量も多く、論調が感情的だ。大衆の怒りが沸き起こる事件が起これば、無条件にそれに加勢するメディアの『ポピュリズム』について自省が必要だ」と述べた。

北京/チェ・ヒョンジュン、キム・ヨンヒ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1030371.html韓国語原文入力:2022-02-09 18:14
訳H.J

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