日本の右翼団体が中学校歴史教科書における日本軍「慰安婦」被害者関連内容の削除を出版社に勧告するよう求めたのに対し、文部科学省が勧告の必要がないと回答した。
産経新聞の24日付の報道によると、文部科学省は山川出版の中学校歴史教科書で「従軍慰安婦」関連技術の削除を勧告するよう求めた「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)などの申し入れに対し、「(削除を)勧告することは考慮していない」と回答した。つくる会など右翼団体は2019年に続き、昨年12月にも文部科学省に「慰安婦」関連記述の削除を当該出版社に勧告するよう求める申入書を送ったが、いずれも拒否された。
右翼団体は同出版社が作った歴史教科書で「戦地に設けられた『慰安施設』には、朝鮮・中国・フィリピンなどから女性が集められた(いわゆる従軍慰安婦)」と書かれた部分を問題視している。同紙によると、つくる会などは「従軍慰安婦は一般的に強制連行のイメージと不可分で使われている」と指摘したという。また、「従軍慰安婦」という表現が戦時中には存在しなかったため、歴史用語として適切でないと主張した。
これに対し文部省は「(当該教科書に)軍と官憲による強制的な連行があったと記述されていない」とし、問題がないと反論したという。しかし同会は「強制性や強制連行を強く暗示させる」と反発したと同紙は報じた。
日本の右翼勢力は「慰安婦」動員の強制性を認めた「河野談話」(1993年)の根拠となる「慰安婦」被害者の調査に問題があったと主張するが、「慰安婦」問題を初めて報道した植村隆元朝日新聞記者を攻撃するなど、「粗探し」を続けている。中学教科書における慰安婦関連記述の削除要求もこのような動きの延長線上にあるものと見られる。