米国貿易代表部(USTR)が韓米自由貿易協定(FTA)再交渉を示唆したのに続き、今回はホワイトハウス国家貿易委員会(NTC)のピーター・ナバロ委員長が、サムスン電子とLG電子に対し、「詐欺」という表現まで使って不公正貿易行為をしていると非難した。
ナバロ委員長は6日(現地時間)、米国全国企業経済協会の総会演説で「米国のシンボルのようなワールプールが韓国のライバル2社が犯す『生産国渡り歩き』(country hopping)のために苦戦している」とし、「LGとサムスンはワールプールがこの2社に対する反ダンピング提訴で勝訴するたびに、生産国を移動している」と述べた。さらに、「生産国渡り歩きはすでに2回も行われた。最近の事例で、彼らは中国からベトナムとタイに生産地を移転した。これは明確に根絶されるべき貿易詐欺(trade cheating)」だと主張した。韓国企業が単に生産国を変えて反ダンピング措置を免れる姑息な手を使っているということだ。
ナバロ委員長は「このような行為は、数千人の米国人を失業状態に陥れ、ウォールプールのような会社に数百万ドルの損失をもたらす」と話した。彼はまた、「貿易赤字の削減が国家安保のために重要である」として、「貿易安保論」を再び持ち出した。
韓国企業を公開的に非難したのは、それだけ通商問題に対する攻勢が強化されることを示唆するものと見られる。トランプ大統領が新設した国家貿易委員会は通商政策全般を総括する組織である。教授時代から強硬な反中国論者で有名なナバロ委員長は、大統領選挙の際、韓米自由貿易協定について「(米国の)雇用を縮小させた」として批判を続けてきた。昨年、米国貿易収支赤字は、対中国の赤字が47%を占め、さらに、ドイツ、メキシコ、日本がその後を続いた。対韓国赤字は全体で8位を記録した。
これについてサムスン電子とLG電子は、ホワイトハウスを意識したためか、立場を表明しなかった。財界では、生産基地を移して原価競争力を高め、生産の最適化を追求するのは一般的なことなのに、ナバロ委員長が米国企業の立場だけをそのまま代弁していると指摘している。