中国企業が恐るべき勢いで韓国企業を買収している。韓国企業の先端技術力と蓄積された各種ノウハウを丸ごと吸収し、国際競争力高めるための布石だ。
米通信社ブルームバーグは22日、「今年現在まで、中国企業は韓国に19億ドル(2兆2323億ウォン=約2308億2000万円)を買収・合併(M&A)や投資に使った。これは昨年同期間に比べ119%も増加したもの」とし、「中国企業が韓国企業を買収するスピードが記録的だ」と報じた。今年の買収・合併や投資金額は1992年韓中国交正常化以来、過去最大規模だ。
中国企業が主に買収または投資しているのは、金融、ハイテク、医療、化粧品、文化娯楽分野だ。中国の安邦保険は、今年2月の国内有数の生命保険会社である東洋生命を9億3400万ドル(1兆1300億ウォン=約1344億2000万円)で買収しており、5月には化粧品ショッピングモールである聚美が、化粧品会社のイッツスキンに1億2500万ドルを投資した。 6月にはチャンプ・インベストメントが、低用量半導体の国内シェア1位の済州半導体を3500万ドルで買収した。同月にはタイガーメッドが、臨床試験受託会社(CRO)であるドリームCISを2300万ドルで買い取った。
中国資本の“韓国企業狩り”は韓国企業の技術力と効率性を確保することで、韓国企業との格差を短期間に縮めようとする、いわゆる「素早い追随者」(ファーストフォロワー<fast follower>)戦略の一環とされている。ブルームバーグは「研究開発、特許、高等教育などを総合評価する『2015ブルームバーグ革新指数』で、韓国が1位を占めたのに対し、中国は22位にとどまった」とし「中国企業は韓国企業が持つ技術力とノウハウを吸収して、自国の国内市場での競争力を高めようとしている」と分析した。シンガポールのIGアジアの投資戦略家のバーナード・アウ氏は「韓国企業は、中国との距離も近く、技術力も備えているため、中国企業の注目を集めている。中国企業は資金も豊富であるため、積極的に買収・合併に乗り出している」と述べた。
このような積極的な買収・合併の動きは、習近平政権の経済構造調整の方向と一致する。中国は、既存の煙突産業を整理し、金融、ハイテク、サービス産業を中心に経済体質を変えようとしている。
専門家たちは、中国の韓国企業狩りがこれからも続くものと予想している。リ・シャオヤン北京長江商学院教授は「中国の中産階級は、健康医療や文化娯楽、金融分野に、より多くのお金を使いながら、企業のブランドと質を吟味するだろう」とし、「中国企業は韓国企業の持つ品質と効率を備えていないため、買収・投資を目指すだろう」と述べた。 2014年基準で、中国企業が国外企業の買収などに投資した総額は1231億ドルだが、韓国への投資は、1%程度である11億ドルで、まだ微々たる水準だ。
イ・ムンヒョン産業研究院(KIET)北京支院長は、「中国は技術を習得し、韓国企業は株式を維持して、中国国内市場での継続的な利益を得られるウィンウィンの構造が望ましい」とし、「しかし中国企業に買収・合併されてしまうと、ブランドと技術は売られても、今後の利益を創出する仕組みを作ることができない」と指摘した。
韓国語原文入力:2015-12-22 19:23