全人口の5人に1人の割合で高齢者である超高齢社会に韓国社会が突入した。少子高齢化は主要国で共通の特徴として現れてはいるが、韓国はその速度が他国とは比較できないほど速い。急激な人口構造の変動は、社会の各分野に及ぼす影響が大きいだけに、それにともなう政策対応を急がなければならない。
行政安全部は24日、前日時点での住民登録人口を基準とし、65歳以上が1024万4550人で全人口の20%に達したことを明らかにした。国連は65歳以上の人口が全体の7%以上の場合は高齢化社会、14%以上は高齢社会、20%以上は超高齢社会としている。韓国は2017年に14.02%となり高齢社会に突入してからわずか7年で超高齢社会に突入した。
経済協力開発機構(OECD)の主要国と比較すると、韓国の高齢化は前例がないほど速い。統計庁と国連によると、高齢化社会に突入後、高齢社会を経て超高齢社会に到達するまでに、フランスは154年、ドイツは76年を要した。しかし、韓国はわずか24年(住民登録人口基準)だった。代表的な長寿国家である日本も35年で、韓国より遅かった。これは韓国の人口構造がきわめて速い速度で逆ピラミッド形になるという意味だ。生産人口が減り扶養人口が増えることにともなう負担もそれだけ重くなる。
このような状況に比べると、韓国政府の対応は初歩的な水準だ。韓国の国内総生産(GDP)に占める福祉支出の割合は2022年時点で14.8%で、OECD加盟国平均(21.1%)にはるかに及ばない。高齢者が多くなるほど、医療とケアの需要は増えざるをえないが、福祉支出はこれに追いつけずにいる。しかも、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は発足以降、税収基盤を弱めており、緊縮財政の基本方針を受け継いできた。積極財政の役割が重要なときに、逆に深刻な政策退歩を示した。
しかも韓国は、高齢者の貧困の割合がOECD加盟国のなかで最高水準にある。にもかかわらず、高齢者に適切な雇用を提供し、豊かな老後所得を保障するための各種制度の整備は遅々として進まなかった。また、法的定年と国民年金の受給開始年齢が一致しないために発生する所得の壁が、代表的な難題として挙げられている。最近になってようやく社会的対話機構で定年延長などの課題が議論されるようになったが、「12・3内乱」事態でそれさえも中断された。混乱する政局が安定し次第、人口構造の変動に備えた政策対応に積極的に取り組まなければならない。時間がない。