SKグループのチェ・テウォン会長が「今後5年以内にメモリ生産能力を2倍に拡大する」と予告したことで、その背景に関心が集まっている。積極的な投資で市場シェアを独占するための増設競争に火をつけるのではないか、という見方が出ているためだ。しかし、これに対してSK側は、人工知能(AI)市場の大規模な需要に対応するためのインフラ確保だと説明している。
チェ会長は2日、台湾・台北で開催された「Computex 2026」の会場で記者団に対し、「メモリのボトルネック現象は2030年まで続くと見込まれる」とし、「生産能力(キャパシティ)の拡大を全速力で進めている」と述べた。また「新しいメモリファブ(半導体工場)の建設には莫大な投資が必要であるだけでなく、少なくとも3年かかる」とし、 「今後5年間でウェハー(半導体基板)の生産能力を2倍に増やす計画だ」と強調した。
AIチップに搭載される高帯域幅メモリ(HBM)をはじめ、DRAM、NANDフラッシュなど、メモリ全体の生産能力を5年以内に現在の2倍に拡大するという話だ。
市場調査機関「オムディア」によると、昨年のサムスン電子のDRAM生産能力はウェハー基準で769万5千枚、SKハイニックスはサムスン電子の約60%の487万5千枚だった。
ところが、SKハイニックスが生産能力を現在の2倍に拡充すれば計975万枚規模となり、サムスン電子を大きく上回ることになる。米マイクロンのDRAM生産能力は昨年360万枚水準で、サムスン電子の約半分にとどまる。
SKハイニックスが今後5年以内にメモリ生産能力を現在の2倍まで大幅に増やすという具体的な目標を提示したのは、今回が初めて。メモリ大手3社は、コロナ禍直後にIT機器ブームが沈静化し、供給過剰の余波で2022〜2023年に全面的な減産を断行した。その後も3社は保守的な投資方針を維持し、「寡占体制」を維持してきた。ところが、グローバルメモリ市場シェア2位のSKハイニックスが、いち早く攻撃的な増設および増産への意志を示した形だ。
ただし、SK側は過去のような半導体企業間の過当競争ではなく、絶対的なメモリ供給不足の現象を緩和するという趣旨の発言だと説明している。チェ会長自身も、現在のメモリ供給不足が2030年まで続き、長期化する可能性があるという見解を度々示している。同社の関係者は「企業の需要対応とサプライチェーンの安定化のため、メモリ生産を大幅に増やす必要がある状況」だとし、「そのため、生産能力を現在の2倍に拡大しようとしている」と語った。