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閉じゆく産業の動脈…韓国、ホルムズ3週間封鎖で生産コスト5.4%上昇

登録:2026-03-20 08:11 修正:2026-03-20 09:21
戦争の長期化と原油高に危機感高まる
11日(現地時間)、ホルムズ海峡近くのペルシャ湾を航行するタンカー。アラブ首長国連邦(UAE)北部のラス・アル・ハイマから撮影=ラス・アル・ハイマ/ロイター・聯合ニュース

 中東事態が軍事衝突にとどまらず、産業基盤とサプライチェーンを標的とした「全面的な経済戦」の様相を呈していることで、韓国の産業界では危機感が高まっている。18日(現地時間)にイスラエルがイランのガス田を攻撃したことを受け、イランが周辺国のエネルギー施設を攻撃したため、世界のエネルギーのサプライチェーンが戦前の水準に回復するにはかなりの時間が必要になるとみられる。世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖が3週間続くと、韓国の製造業の生産コストが5%以上あがるとの分析も示されている。

 米国とイスラエルがイランを攻撃した先月28日以降の3週間、産業界は原油価格高騰対策に忙しかったが、今や供給危機を懸念しなければならない局面だ。特に足元に火がついているのは石油精製・石油化学業界だ。同業界の企業は代替サプライチェーン探しに総力をあげている。現在の石油備蓄は政府と民間合わせて約1億9千万バレル。政府は今後200日ほど持つ量だと説明しているが、これは国際エネルギー機関(IEA)の定める「一日当たりの平均純輸入量」を基準に計算したもの。韓国の実際の一日あたりの原油消費量(280万バレル)を基準に計算すると、約68日しか持たない。政府が先日アラブ首長国連邦(UAE)から確保したと発表した2400万バレルの緊急物量と備蓄の2246万バレルの放出計画が順調に進んだとしても、持つのはせいぜい2~3カ月だと業界ではみている。

 石油化学業界の状況はさらに切迫している。業界が保有するナフサの在庫は2~3週間分に過ぎないため、早ければ1カ月後にナフサ分解施設(NCC)の稼働が続々と停止する可能性があるとの懸念が高まっているためだ。原油から抽出されるナフサは、石油化学産業にとって不可欠な基礎原料だ。これを用いて生産されるエチレンはプラスチック、合成繊維、ゴム、化学製品の原料となり、「産業の米」と呼ばれる。

 石油化学業界の関係者は「原油はエネルギーの観点から戦略物資として政府が管理しているが、ナフサは個別企業レベルで在庫を管理しているため、総合的な対策がない」として、「ナフサの原価と(船舶による)輸入コストが急速に上昇しているため、1カ月後には一部の工場のシャットダウンは避けられないだろう」と語った。そうなれば自動車、電子、建設資材、タイヤなど、製造業全般に影響が及ばざるを得ない。食品・飲料業界も例外ではない。ラーメン、菓子、飲料、化粧品などの各種の包装材や容器の原料となるポリエチレンの供給が難しくなりうるからだ。

 イスラエルとイランとの衝突がエネルギーインフラへの攻撃へと拡大したことで、国際原油価格が大きく上昇したことも、韓国の産業全体をさらに圧迫する要因となっている。国際原油価格の指標となるブレント原油はこの日、取引中に1バレル当たり111ドルを超え、52週高値を記録。それに伴い、物流・輸出コストも急激に上昇している。コンテナ運賃の流れを示す上海コンテナ運賃指数(SCFI)は13日時点で1710.35で、8カ月ぶりの高水準を記録した。物流業界のある関係者は「中東への輸送費は紛争前に比べて3倍以上に跳ね上がっている」と語った。燃料費が営業コストの30%を占める航空業界も直撃を受けている。中東事態の影響で非常経営体制に転換したティーウェイ航空が代表的な例だ。

 さらに大きな問題は、中東での戦争が長期化の兆しを見せていることだ。産業研究院が19日に発表した「サプライチェーンのシナリオ分析と示唆点」と題する報告書は、世界の原油の27%、天然ガスの22%が通過するホルムズ海峡の封鎖(3月1日現在)が1~3カ月続くと、原油価格は1バレル当たり120~160ドルの上昇、天然ガス価格は100~140%のさらなる上昇が予想されると分析している。封鎖が3カ月以上続くと、国際原油価格は1バレル当たり150~180ドルほどに上昇し、液化天然ガス価格はさらに150~200%上昇することが予想されると研究院は予想する。

 さらに、研究院が原油・天然ガス価格の上昇が各産業の生産コストに及ぼす波及効果をシナリオ別に推定したところ、海峡封鎖が3週間以内に終了したとしても、韓国の産業全体の平均生産コストは4.2%、製造業の生産コストは5.4%、サービス業の生産コストは1.4%上昇すると予想された。封鎖が3カ月以上続くと、産業全体の平均生産コストは9.4%、製造業の生産コストは11.8%、サービス業の生産コストは3.1%上昇すると予想された。

イ・ジェホ、ユ・ハヨン、ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1250186.html韓国語原文入力:2026-03-19 19:16
訳D.K

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