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ノーベル経済学賞の受賞者「韓国の少子化は経済成長の危険要素」

登録:2025-10-16 01:24 修正:2025-10-16 06:42
米ブラウン大学のピーター・ハウイット名誉教授が13日(現地時間)、ブラウン大学の主催するオンライン記者会見で記者の質問に答えている=画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 今年のノーベル経済学賞の2人の受賞者が、韓国の少子化問題を経済成長の危険要因だと指摘した。「イノベーションに不利に作用」(米ブラウン大学のピーター・ハウイット名誉教授)、「長期的成長の制約要因」(米ノースウェスタン大学のジョエル・モキイア教授)と述べた。両教授は、韓国経済の持続的な成長のためには「強力な反独占政策と競争環境の造成」(ハウイット教授)、「自由な貿易や表現の自由などを包括する開放性」(モキイア教授)が重要だと助言した。

 ハウイット教授は13日(現地時間)のブラウン大学の主催するオンライン記者会見で、韓国経済がイノベーションを持続しうる政策環境について記者が問うと、「既存の企業による新技術導入の妨害を防止することは、政治的に非常に難しい問題」だとしつつも、「強力な反独占政策が最も重要」だと述べた。同氏は「米国もこのところ、様々な分野で過度な独占権力が規制されることもなく許されているため、イノベーションと成長に否定的影響を与えている」として、「シュンペーターはかつて『独占の利益こそイノベーションの補償』だと主張したが、私たちの研究はそれとは異なる『競争脱出効果』を示した」と説明した。競争が激しいほど、既存の企業は後れを取らないようにするために、より多くのイノベーションに挑むようになるということだ。同氏は「市場支配力が強まるほどイノベーションに対する誘引が弱まる。したがって先導企業にイノベーションを続けさせるためには、市場での過度な独占を防止しなければならない」と述べた。

米ノースウェスタン大学のジョエル・モキイア教授が13日(現地時間)、ノースウェスタン大学の主催するオンライン記者会見で発言している=画面をキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 モキイア教授もこの日、ノースウェスタン大学の主催するオンライン記者会見で、同趣旨の質問に、「このような質問が韓国から来たというのが不思議だ」として、「講義のたびに韓国と北朝鮮を比較し、制度がきちんと動けば、そうでない国よりはるかにうまくいくということを強調している」と語った。

 ただしモキイア教授は、韓国の少子化は挑戦課題だと指摘した。同氏は「韓国は今まで非常にうまくやってきた。今後もやるべきことは明らかだ。国境の開放性の維持、世界最高の技術と知識にアクセスし続けられるようにしておくこと、そして出生率を上げること」だと述べた。そして「世界最低水準の出生率は選択かもしれないが、長期的な成長の制約要因となりうる」と補足した。

 ハウイット教授も「一般的にイノベーションは若い世代からの方が多く生み出される傾向があるため、高齢化は不利に作用する」と語った。ただし同氏は「イノベーションは必ずしも自国の内部だけで起きるわけではないので、国際的なアイデアの交流と開放性が非常に重要だ」として、「学界、研究協力、技術交流などの様々な経路を通じて、国境をまたぐアイデアの流れを活発にしておくことが必要だ」と助言した。

 輸出依存型の経済を持つ韓国は米国の保護貿易基調にどのように対処すべきかについて、ハウイット教授は「貿易は技術移転の要となるルートなので、輸出指向の国が米国のような交易を制限する相手に出会った際には、新たな貿易パートナーを積極的に探すべきだ」と助言した。同氏は「国際貿易を通じて新技術の情報を得て適用させる能力を維持してこそ、経済成長は持続する」と強調した。

 モキイア教授は「韓国は地理的に難しい位置にある。自国よりはるかに大きな国(中国)の隣にあるというのは、常に複雑な課題」だとしつつも、「韓国に助言したいことは単純だ。常に開放的な姿勢を保てということだ。単なる貿易の開放性だけでなく、国民が自由に話せる表現の自由、自由な言論、自由選挙を通じた民主主義も維持しなければならない」と述べた。

 ハウイット教授は最近の人工知能(AI)投資ブームについて、「1990年代末の通信産業のバブルと似ている」として、「過去にも技術ブームは多かったし、ほとんどは崩壊して終わったが、そのようなブームさえも結局は有意義な技術発展をもたらした」と評価した。ただし同氏は「AIがファンタスティックな汎用技術であることは明らかだが、同時に労働市場が衝撃を受け、社会対立を誘発する恐れもある。それがもたらす社会的対立は、絶対に規制が必要だ」として、「規制されていない市場の私的誘引だけでは、このような対立を社会全体の利益に合うよう解決することは難しい」と強調した。

 ハウイット教授とフィリップ・アギヨン教授(仏コレージュ・ド・フランス、仏欧州経営大学院(INSEAD)、英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス)は、ヨーゼフ・シュンペーターの「創造的破壊」理論を継承し、技術革新と企業家精神を経済成長の要となる動力として確立した「シュンペータリアン成長理論」の代表的な学者だ。モキイア教授はこのようなイノベーションと成長の歴史的、文化的な基盤を解明した研究で、2人と共にノーベル経済学賞を受賞した。スウェーデン王立科学アカデミーは「3人の学者は、イノベーションがどのように長期的な経済成長をけん引するのかを解明した」と述べている。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1223159.html韓国語原文入力:2025-10-14 06:41
訳D.K

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