来年から韓国の雇用市場に、少子化による「人口ショック」の影響が本格的に表れる見通しとなっている。生産年齢人口(15~64歳)は2019年にピークを迎え、その後は減っているが、実際に雇用市場に流入する25~34歳の人口はこのかん増加が続いてきたため、それが就業者数の減少の緩衝材の役割を果たしてきた。しかし来年からは雇用率の高いこの年齢層が本格的な減少に転じるため、生産年齢人口の質的構成が変化しはじめる。直ちに経済成長率が回復したとしても、構造的な労働力不足は避けられなくなるため、定年延長などの社会的議論が急務だと指摘されている。
2日に統計庁の将来人口推計(中位)を分析すると、今年の25~34歳の人口は昨年より3千人減の714万7千人。この年齢層の人口は来年には3万6千人減、2027年には17万8千人減と、毎年急激に減っていくことが予想される。それに伴い、生産年齢人口の減少数全体に占める25~34歳の減少数の割合は、来年の8.6%から2027年には58%、2028年には57%へと上昇。第2次ベビーブーム世代(1964~1974年生まれ)の子どもの世代に当たる第2次エコブーム世代(1991~1995年生まれ)がこの年齢層にさしかかったため、生産年齢人口が減少しているにもかかわらず25~34歳の人口が増えていた最近5~6年とは逆に、今後は生産年齢人口の減少と25~34歳の人口減少が同時に加速する現象が起きるわけだ。
このような見方は、政府が先日発表した来年度の経済見通しにも反映されている。企画財政部は来年の実質経済成長率を1.8%と、今年(0.9%)より高く見積もっているが、就業者数は今年のプラス17万人から来年はマイナス11万人へと減少に転じるとの見通しを示している。景気が回復すれば雇用も拡大するという前提が、青年人口の急減で成立しにくくなったわけだ。企画財政部人材政策課のチャン・ジュソン課長は、「30代の雇用率は80%と、全年齢層の中で最も高いが、この年齢層の人口が減少することで、少子化による人口構造の変化が来年から雇用市場に本格的に表れるだろう」と語った。
第1次ベビーブーム世代(1955~1963年生まれ)が次第に70代の高齢層にさしかかることも、労働力不足を深刻化させる要因だ。このように急速に高齢化する人口構造は、潜在成長率の鈍化に決定的な影響を及ぼす。潜在成長率は物価上昇を誘発せずに労働力や資本などのあらゆる生産要素を動員して達成しうる最大の成長率で、国の経済の基礎体力を表す。韓国開発研究院(KDI)は今年5月、「潜在成長率の見通しと政策的示唆点」と題する報告書で、「生産年齢人口が急速に減少することにより、労働力投入(就業者数)の成長への貢献度は2030年前後にマイナスに転じる見通し」だと指摘している。
KDIのキム・ジヨン展望総括は、「政府が65歳以上の高齢者人口の増加というすう勢に合わせて雇用を増やし、青年層の減少を一定程度やわらげることになるだろう」としつつも、「民間領域でも高齢層の勤労期間を延長するための制度的基盤を整えるとともに、外国人労働者の受け入れで生産年齢人口の減少の否定的な影響を緩和すべきだ」と提言した。
ソウル大学のイ・チョルヒ教授(経済学)は「正常な労働市場だったら、青年層が減った時には雇用率が上がるとともに青年層の雇用条件が改善されるべきだが、実状は雇用のミスマッチでそうなっていない」として、「短期的に若者が働き甲斐のある雇用を作り出すことも重要な課題」だと述べた。