米国のドナルド・トランプ政権が専門職ビザ(H-1Bビザ)の手数料を1千ドルから10万ドル(約1470万円)へと100倍に引き上げることにし、対米投資を拡大する韓国企業の負担が増えることになった。トランプ政権はジョージア州のLGエナジーソリューションのバッテリー工場逮捕事件後、韓国企業のビザ問題を解決すると明らかにしたが、強硬な反移民ドライブが韓米ビザ協議に否定的な影響を与える可能性も取りあげられている。
21日、米国移民局の統計によれば、アマゾン、グーグル、アップル、IBMなどは年間基準で外国人数千人ずつを専門職ビザ制度を通じて雇用している。米国の情報技術(IT)企業が、インドなど第3国の人材を直接雇用するためにこの制度を多く利用している。米国に投資した韓国企業の場合、2024会計年度にサムスン電子、サムスンSDI、サムスン半導体などは117件、LG電子、LG CNS、LGエナジーソリューションなどは23件、SKハイニックスは14件の専門職ビザを通じた新規採用を行った。年間8万5千人に割り当てられるこのビザを取得した韓国人は昨年2500人余り。
対米投資企業が雇用した専門職ビザ保有者のうち、韓国国籍者と第3国の人がそれぞれ何人ほどかは知られていない。韓国企業は、管理者や技術者など韓国人の米国勤務が必要な場合、駐在員ビザ(L1ビザ)や投資ビザ(E2ビザ)を多く活用する。しかし、部分的には専門職ビザも使っており、今回の手数料引き上げが米国投資を拡大する企業の負担を増大させることは確実だ。専門職ビザは抽選制で配分されるためただでさえ難しさがあるが、今度は例えば100人を使うためには手数料だけで140億ウォン(約14億7千万円)を払わなければならないということだ。
今回の措置が韓米ビザ協議に否定的な影響を与えかねないという見通しも出ている。韓国企業が米国で工場を建て、初期運用をするのに必要な人材を安定的かつ合法的に送ることができる制度的方法としては、韓国に対する専門職ビザの割り当てや韓国人専用就業ビザ(E4)の新設が代表的に取りあげられてきた。韓国のチョ・ヒョン外交部長官は「良い方向としてE4ビザやクォーター制、または両方を合わせてできるすべてのことを交渉してみる」と明らかにしてきた。しかし、今や専門職ビザのクォーター割り当ては、手数料問題から見て優先的考慮は難しくなった。
ある大企業の関係者は「企業の立場としては、当然費用負担が大きくなる」として、米国の現地法人の専門職ビザの活用実態を把握してから対策を設けると明らかにした。別の企業の関係者は「私たちは駐在員ビザを主に活用しているため大きな影響はなさそうだ」としながらも「米国のビザ政策で過去には考えられなかった問題が飛び出し、不確実性が高まっている」と話した。