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「鉄鋼関税」一歩も譲らないトランプ大統領…韓国鉄鋼企業、輸出量は「様子見」

登録:2025-05-15 06:41 修正:2025-05-15 09:48
米、英中との交渉の際も鉄鋼は除外 
韓国製鉄鋼に3月から25%関税賦課
クリップアートコリアより//ハンギョレ新聞社

 米国は、中国に賦課した相互関税を大幅に引き下げることにするなど勢いは弱まったものの、「鉄鋼関税」に対してだけは一歩も譲れない様子だ。韓国製鉄鋼は25%の関税がかかる代わりに、輸出限度(クォーター)が解除されている。一部では、国内の鉄鋼業界が限度が解除されたことを機に輸出拡大戦略を取る可能性があるとの見通しを示したが、実際にはそのような現象は起きていない。輸出量が目立って増えれば、現在進められている米国との交渉に影響を与える可能性があるという不安を抱えているためだ。

 トランプ大統領は今月8日(現地時間)と12日に相次いで行われた英国と中国との関税引き下げ合意で、鉄鋼については除外するか、調整を確定しなかった。中国製鉄鋼の関税率は45%を維持し、英国製鉄鋼の関税率は「サプライチェーンのセキュリティーおよび生産施設所有権に関する米国の要求を充足させる」という条件を満たさない限り下げないという内容で合意した。

 英国や中国との交渉で表れた米国の態度から、韓国の鉄鋼業界と政府はトランプ大統領が鉄鋼関税には非常に敏感だとみている。匿名の政府関係者は14日、「企業はトランプ大統領の機嫌を損ねないように気をつけなければならない状況」だと述べた。ある鉄鋼会社の主要関係者も「米国にとって韓国は鉄鋼輸入4位の国だ。米国との交渉過程と結果を見てから、本格的な対応戦略を立てた方が良いと思われる」と語った。

 このような慎重な態度は公の場でも現れている。ポスコのホン・ユンシク・マーケティング戦略室長は先月24日、ポスコホールディングスの第1四半期の業績発表で、「米国が全世界から輸入する鉄鋼の輸入量を(引き続き)モニタリングしている」とし、「クォーター制はなくなったが、輸出量を急激に増やせば(米政府の)追加制裁があるものとみられる」と述べた。ポスコは昨年と同水準で鉄鋼を米国に輸出する方針だ。「クォーター制」の足かせは外れたが、物量攻勢には出ないことにしたのだ。

 韓国は2018年から対米鉄鋼輸出が年間263万トン(一部例外品目を除く)まで可能なクォーターが適用され、これらについては無関税だった。しかし、米国が3月12日、すべての輸入鉄鋼に25%の関税を賦課してから、クォーター制はなくなった。

 これはクォーター制廃止当時に出た予測とは異なる流れだ。当時専門家らは、米国企業には作れず競争力の低い一部の鉄鋼製品を中心に、韓国の鉄鋼会社が輸出量を大きく増やしていく方式で「25%関税」の負担を相殺していくと見通した。特に第2次トランプ政権が力を入れているエネルギー開発と関連し、石油・ガスボーリングと運送に使われる配管、バルブ、鋼管製品などを中心に輸出量が増える可能性があると分析された。一例として25%の鉄鋼関税が施行された直後、ポスコ関係者はハンギョレに「関税賦課は厳しい状況だが、クォーターが解除されたことをチャンスにして製品をさらに輸出する」と語った。韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長も「クォーターに縛られていた一部の高級鋼の米国内需要が増加しているため、企業に輸出拡大の要因になりうる」と予測した。

 一方、韓国鉄鋼協会の資料によれば、対米鉄鋼輸出量は3月には13.9%(同月比)減少した一方、4月には14.9%増加したことが分かった。これを米国関税賦課の影響とする見方もあるが、まだ不明というのが大方の見解だ。鉄鋼業界の関係者は「製品ごとに異なるが、3~4月の輸出物量は概して1~2月に契約された件」だとし、「3月の関税25%賦課の影響は、5月の輸出指標から徐々に確認されるだろう」と話した。生産に入る時間のため、契約時点と輸出時点間の時差が存在するという意味だ。

チョン・スルギ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1197477.html韓国語原文入力:2025-05-14 20:10
訳H.J

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