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Kバッテリーは再び飛翔できるのか

登録:2025-03-09 20:13 修正:2025-03-10 08:59
エコノミーインサイト_ Economy insight 
財務諸表で読む会社の話
2024年3月、ソウル市江南区のCOEXで開かれた「2024インターバッテリー(Inter Battery)」のLGエナジーソリューションのブースに「Cell To Pack」コンセプトのバッテリーが装着された車両のプラットフォームが展示されている。米国政府の攻勢と中国企業の早い市場蚕食に対抗する道は技術力しかない/聯合ニュース

 EVリサーチ企業であるRho Motionによると、2024年の世界の電気自動車(EV)総販売台数は1710万台で、2023年比25%増加したという。このうち64%以上の1100万台が中国で販売されたもので、中国のEV販売台数の増加率は40%にもなる。大陸別に見れば、欧州で販売量が3%減少しただけで、北米は9%成長し、残りの大陸は27%も成長した。もしかしたら欧州と韓国だけが一時的な需要鈍化のキャズムを経験しているのかもしれない。

 韓国はマンションの地下駐車場で起きたEVの火災でイメージが悪化したこともあるが、景気不況によって自動車販売台数自体が減少した影響が大きいだろう。現代自動車と起亜は2025年1月3日に発表した営業(暫定)実績で、2024年の韓国国内の自動車販売台数は現代自動車が70万5010台、起亜が54万10台で、2023年比でそれぞれ7.5%、4.2%も減少したと公示した。

■LGエナジーが3位に後退

 世界のEV販売台数1位の企業である中国の比亜迪(BYD)がバッテリー市場まで蚕食し始めた。SNEリサーチの資料によると、2024年第3四半期の世界のEV用バッテリーの市場シェアは、出荷量基準でCATLが35.2%、BYDが17%で1、2位を占めた。LGエナジーソリューションは11.2%で3位に下がった。

 1月9日に発表したLGエナジーの営業(暫定)実績公示を見ると、2024年第4四半期に2255億ウォン(約230億円)の営業赤字が出た。年間基準で見れば、売上高は対2023年比24.1%減少した25兆6196億ウォン(約2.6兆円)、営業利益は73.4%減少した5754億ウォン(約580億円)にとどまった。 ライバル会社のサムスンSDIも、第4四半期に2567億ウォン(約260億円)の営業赤字を出し、2024年の売上高は2023年比22.6%減の16兆5922億ウォン(約1.7兆円)、営業利益は76.5%減の3633億ウォン(約370億円)と公示した。

 韓国のバッテリー企業の厳しい冬が始まったようだ。LGエナジーはコスト節減のために2024年末から非常経営に突入したというが、2025年にも実績が大きく増えるとは思えない。1月24日に発表した将来の事業・経営計画の公示を見ると、2025年の売上高は5~10%程度成長するとの予想だ。それでも一つ希望と言えるものは、2024年11月の「バッテリー産業の日」の行事で、バッテリー業況が2025年までは厳しいだろうが、2026年には持ち直しうるとの展望が出たという点だ。その時までは会社が何とかして耐えなければならないようだ。

 LGエナジーの2024年第3四半期末現在の資産規模は56兆6271億ウォン(約5.8兆円)だ。このうち有形資産が全体の58%である32兆6580億ウォン(約3.3兆円)にもなる。2022年初めに株式市場に上場した時の資産規模は23兆ウォン台であり、うち有形資産は11兆ウォン台だったが、わずか2年で外形が2倍以上成長し、有形資産も3倍近くに増えた。

 会社の有形資産に対する投資規模は、2022年までは6兆ウォン(約6千億円)台だったが、2023年に10兆ウォン(約1兆円)、2024年は第3四半期までに9兆ウォン(約9千億円)以上を投資するほど毎年大規模な増設を行った。2022年に企業上場で10兆ウォン台の資金が入ったが、施設投資に莫大な資金が必要で、融資残高が大きく増えるしかなかった。2024年第3四半期末、会社の借入金残高は16兆8990億ウォン(約1.7兆円)で、保有している現金と金融商品の5兆4513億ウォンに比べて3倍になるほど負担が大きくなった。

 営業赤字が出始めたため、年間5千億ウォン(約510億円)を超える利子費用も負担だ。ただし、会社は有形資産が多いだけに減価償却費の発生額も大きい。第3四半期までの減価償却費は2兆1868億ウォン(約2200億円)にもなる。この減価償却費は会計上の費用に過ぎないため、実際に現金が流出するわけではない。つまり、会計上の赤字に過ぎず、実際には資金を稼いでいる。

 LGエナジーのキャッシュフロー表を見ると、2024年の9カ月間に営業活動を通じて2兆5811億ウォンの金を稼いだという。しかし、利子費用として4164億ウォンを支出し、有形資産の取得のために9兆165億ウォンを投資して資金が不足し、9カ月間の借入金残高は4兆7696億ウォンも増えた。このようなキャッシュフローは毎年続いた。すなわち、事業を通じて金を儲けるが、利子費用を払って施設投資をすれば常に金が足りず、巨額の借入を起こした。

 ライバルメーカーのサムスンSDIやSKオンも財務構造とキャッシュフローは似た状況だ。3社の有形資産残高を合わせれば75兆ウォンを超えるが、借入金の合算が45兆ウォンを超過する。すなわち、3社とも融資で工場を拡張したわけだ。実際、数年前までは金利も低く、2次電池に対する成長性への期待が大きかったため、融資で工場を建てることに問題はなかった。後で多くのお金を稼いで、すべてを返すことを期待したためだ。しかし、業績鈍化は思った以上に早く訪れた。

 さらに、保護貿易の強化やEV補助金の廃止などの政策を打ち出した第2次ドナルド・トランプ政権が始まったため、2025年からの事業環境はさらに良くない。果たして2026年に回復するかも分からない。だからといって座り込んでいるわけにはいかない。莫大な融資残高も問題だが、業界の赤字が深刻化すれば、国家経済に深刻な影響を与えることになるので、どんな手を使ってでもこの難局を打開しなければならない。

■他を寄せ付けない技術の力

 2023年にSKハイニックスは純借入金が20兆ウォン(約2兆円)を超えるほど財務構造が本当に良くなかった。 そんな中、半導体業況まで悪化し、同社は9兆ウォンを超える当期純損失まで出した。本当に深刻に見えたが、わずか1年で売上を2倍に増やし、20兆ウォン近い純利益を残し、借入金残高を大幅に減らした。サムスン電子より多くの利益を創出し、順位を入れ替えた。結局、他を寄せ付けない技術力が勝利するということを証明した。

 韓国のバッテリー企業もこれを他山の石としなければならないだろう。成長しているEV市場で、米国政府の攻勢と中国企業の早い市場蚕食で立場がさらに狭くなってはいるが、これを克服する道は彼らを超える技術力しかない。苦難の時間を乗り越え、遠くない未来に勝利を勝ち取り、韓国経済をリードしていくことを期待する。

パク・ドンフム公認会計士・韓国金融研修院兼任教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1185962.html韓国語原文入力:2025-03-08 14:34
訳J.S

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