米国のドナルド・トランプ次期大統領が推進する関税政策などの「トランプ・リスク」が全世界の証券市場を襲った。欧州に続きアジアの証券市場まで暴落した。この渦中で韓国市場が最大の打撃を受けた。一部の専門家らは、投資家が韓国経済の構造的脆弱性に注目して離脱するのではないかという見方も出している。
■KOSPIは連日急落…サムスン電子は5万ウォン台も危険な状況
13日の韓国総合株価指数(KOSPI)は、前日比で65.49(2.64%)下落した2417.08で取引を終えた。コスダック(KOSDAQ)指数は20.87(2.94%)下げ、2カ月ぶりに700台が崩壊した。米国大統領選の結果が出る前の5日からこの日までの約1週間、KOSPIとKOSDAQ指数はそれぞれ6.20%、8.27%下落した。
有価証券市場の代表株であるサムスン電子は、2400ウォン(4.53%)安の5万600ウォンで取引を終えた。「5万電子」も危険な状況にある。前日比で1000ウォン(1.89%)下げた5万2000ウォンで取引を始めたのち、市場での落ち幅は着実に拡大した。この日の終値は2020年6月15日(4万9900ウォン)からの4年5カ月で最も安い。外国人投資家はこの日、サムスン電子の株式を7330億ウォン分売った。外国人投資家の売り越し傾向は11日連続している。
■アジアの証券市場も同時に下落…トランプ・リスク反映
アジアの株式市場もいっせいに崩れた。香港ハンセン指数は前日比で0.12%下落。米大統領選の直前と比較すると約5.6%急落した。台湾の加権指数も0.53%下げた。日本の日経平均株価は比較的下げ幅の大きい1.66%安となった。アジアの証券市場の主な指数のなかで上昇の勢いを示したのは、中国の上海総合指数が唯一だが、上げ幅は0.51%と大きくはなかった。米国のモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが算出するMSCI新興国指数は、前日比で2.02%下げた。
前日の欧州の証券市場が大幅な下落傾向を示したのに続き、アジアの証券市場まで同時に下落したのは、投資家がトランプ・リスクを本格的に投資戦略に反映させたためだと分析されている。ただし、安全資産であるドル指数や米国債、金の価格は小幅な上昇に留まっており、本格的なマネーの動きが現れているわけではない。
■韓国の証券市場、なぜより脆弱なのか
韓国の証券市場の専門家らは、韓国の証券市場がトランプ氏の当選後にさらに脆弱な姿をみせていることについて、様々な分析をしている。対米黒字の規模が大きいうえ、輸出中心の経済構造であるため、トランプ氏の復帰によって最も強い影響を受けているとか、空売り禁止など外国人投資家が敬遠する制度を韓国が運用しているためだとする意見も出ている。国際的な年金ファンドなどの世界の投資市場の大手が、韓国のエクスポージャー(リスク露出額)を下げたり、一部の銘柄を外したりするなどのポートフォリオの調整に着手したのではないかという分析もある。
信栄証券リサーチセンターのキム・ハクキュン・センター長は「来年は世界の景気鈍化が予想されており、トランプ氏の排他的な政策によって、米国以外の市場が調整を受けている状況だとみられる」として、「韓国は特に否定的な状況が多く反映されるようだ」と述べた。ただし「現在の韓国の証券市場が過度に低評価される局面に入った側面がある」とも述べた。