韓国政府が慶尚北道浦項(ポハン)の迎日湾(ヨンイルマン)沖に大規模な石油とガスが埋蔵されている可能性を示したが、実際の商業生産につながるには不確実性が高い。まず最初の段階である深い地中を掘り下げるボーリング調査で石油・ガスを見つける確率を、政府は20%と見通している。通常、石油探査からボーリング、生産に至る一連の過程は、期間が長くかかるだけでなく、「ハイリスク・ハイリターン」の様相を呈する。「存在の可能性」だけでバラ色の未来を描くことは難しいというのが、専門家らの反応だ。
3日の韓国政府の発表によると、政府は浦項近海の東海(トンヘ)の深海(迎日湾から38~100キロメートル離れた地域、深さ1キロメートル)に少なくとも35億バレル、最大で140億バレルの石油とガスが埋蔵(探査資源量基準)されている可能性があると判断した。探査資源量とは、物理探査の資料解釈を通じて算出した推定埋蔵量で、ボーリングを通じてはまだ確認されていないものを指す。政府が明らかにしたガスと石油の探査資源量は、それぞれ最大12億9000万トン、最大42億2000万バレルだ。これは、韓国全体の使用量と比べると、ガスは最大29年間、石油は最大4年間使用できる規模だ。
政府は、この地域に石油とガスの埋蔵の可能性が探知されたのは、ガスの枯渇によって生産を終了した東海ガス田の周辺を改めて確認する過程でだったと明らかにした。具体的には、昨年2月に深海技術評価専門企業である米国のアクトジオ社に詳細な分析を依頼したところ、昨年末に埋蔵の可能性があるという検討結果を伝えられた。その後政府は、検討結果を国内外の専門家らが5カ月間かけて確認する手順を踏んだという。
実際の埋蔵の有無を知るためのボーリング作業は、今年の年末から始める。深海に穴をあけるボーリング作業には、1カ所につき1000億ウォン(約110億円)以上の費用を要する。政府は少なくとも5カ所のボーリング孔をあける計画だ。開発過程で必要な費用は、政府予算、韓国石油公社の資金、他国企業からも調達するというのが政府の計画だ。産業通商資源部のチェ・ナムホ第2次官は「失敗しても(責任は)問わない」と述べた。
現段階では探知から生産に至る全体の石油・ガス田の開発事業の段階では極初期に当たる。このような理由で、資源開発・エネルギー業界では「土の下は掘ってみないと分からない」という反応を示した。早まった期待は禁物だという意味だ。実際の生産・開発原価と販売価格の間の相関関係などを調べる経済性評価も、現段階では進められていない。また、年末に始まるボーリング作業を通じて埋蔵量を確認したとしても、実際の生産に至るまでには予期しない障害が登場することも起こりうる。産業通商資源部のアン・ドックン長官は「実際に埋蔵が確認されれば、2027年または2028年ごろに工事を始め、商業的な開発は2035年ごろに開始できるのではないかと考えている」との予想を示した。
メリッツ証券はこの日、報告書で「ボーリングまでは結果を予断できない」として、「(政府が発表した探査資源量と)実際の埋蔵量は区別する必要もある」と述べた。ある業界関係者は「資源探査は長い時間かけて努力するが、確率は高くない。長い目で見守る必要がある」と述べた。石油とガスのボーリングの技術力を持つ韓国業者のSKアースオンとポスコ・インターナショナルも、国外の海洋油田の開発の経済性評価だけで、数年以上の時間をかけた。韓国企業が商業生産に成功したミャンマーのガス田も、探査から採掘まで12年かかった長期プロジェクトだった。