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韓国、日本より低成長だったのは50年間でわずか3回…昨年がそうだった

登録:2024-03-04 07:43 修正:2024-03-04 09:12
[ハンギョレS]イ・サンミンの国の暮らし|見えない足 
所得第1分位階級の所得は158万円…そのうち国の支援分は69万円 
民間消費1.8%成長時に政府支出は1.3%…消極的なプレー
昨年11月、市民がソウルの大型スーパーで買い物をしている//聯合ニュース

 誰が金持ちになり、誰が貧乏になるのだろうか。古典派経済学では「見えない手」が決めるという。より良い財貨とサービスを他の人たちより安く供給できれば、市場でより多くの利潤を得ることができるという意味だ。自分の才能と努力を通じて生産性を増大させれば、自分は金持ちになる。市場の非効率を効率に変える過程で自分が金持ちになるとは。見えない手は本当に大したものだ。

 しかし、家計と企業だけで成り立つ民間経済のもとで暮らしている人は誰もいない。私たちは皆、民間経済と政府が多額の資金をやりとりする公共経済のもとで暮らしている。税金と国家予算を通じて多くの財貨とサービスをやりとりしている。今年の韓国中央政府の総支出の規模は657兆ウォン(約74兆円)だ。地方自治体や健康保険などを含む一般政府支出の規模は実に900兆ウォン(約101兆円)に達する。韓国の国内総生産(GDP)の約38%を占める規模だ。これほどの規模の政府支出を除いて誰が金持ちになり貧しい人になるかを議論するのは不十分だ。900兆ウォンに達する財貨とサービスを多く享受する人は金持ちになり、そうでなければ貧乏になる側面も大きい。政治力またはロビー力という「見えない足」を通じて、何者かがせっせと900兆ウォンを持っていく。

 直観的に考えてみれば、自分の生活の質を決定するのは、市場所得でなく可処分所得だ。ある人がある国で年俸2億ウォンを稼いだとしよう。うらやましいだろうか。しかし、その国では税金を1億5000万ウォン払った。可処分所得は5000万ウォンに過ぎない。一方、別の人は別の国で年俸1000万ウォンしか稼がなかった。しかし、年金などの福祉によって4000万ウォンを得た。そうなると、可処分所得は5000万ウォンになる。市場所得は2億ウォンと1000万ウォンでは天と地の差だが、可処分所得は同じだ。実際の自分の生活の質は、市場所得でなく可処分所得が左右する。

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所得第1分位階級の所得の半分近くが「政府支援」

 2022年の家計金融福祉調査によると、韓国の世帯の平均所得は6800万ウォン(約770万円、1人世帯の平均所得は3000万ウォン(約340万円))だ。ところが、世帯所得6800万ウォンのうち公的移転所得は625万ウォン(約70万円)だ。公的移転所得とは国が与えるお金を意味する。国民年金、基礎年金、児童手当、雇用保険給与などがこれに含まれる。韓国の平均世帯は毎年600万ウォン以上を国から得ている。すなわち、「見えない足」が韓国の世帯所得の600万ウォン以上を左右する。第1分位階級(所得下位20%)の全所得は1400万ウォン(約158万円)だ。このうち、国が与える公的移転所得は611万ウォン(約69万円)であるから、第1分位階級の所得の半分近くは「見えない足」のおかげだ。

 しかも、公的移転所得からは国が提供するサービスは除外されている。サムスン電子に数兆ウォンの税制恩恵を提供しても、12年間に小中高を無料で通い給食まで無料だったとしても、賃貸住宅で安い家賃で暮らしても、公的移転所得の統計ではとらえられない。現金を提供する「見えない足」よりも、サービスを提供する「もっと見えない足」の方が重要だ。

 さらには、政府支出の規模は、韓国経済の成長率において重要な役割を果たす。昨年の韓国の経済成長率は1.4%にすぎず、経済協力開発機構(OECD)の先進国の平均経済成長率(1.7%)より低かった。ハン・ドクス首相は2月の国会の対政府質問で、低い経済成長率に責任を問う野党議員の質問に、「先進国のなかではかなり高く成長した」と答えた。それは事実ではない。昨年の米国とスペインの経済成長率は2.4%で、オーストラリアは1.9%を記録した。日本も1.7%だった。特に韓国の経済成長率が日本より低かったのは、過去50年間でわずか3回しかなかった。クーデター直後の1980年、アジア通貨危機直後の1998年、そして2023年だ。政権や経済権力を失わなかったにもかかわらず、日本の経済成長率より低いという異例かつ極端なことが初めて発生したのだが、ハン首相は国会で嘘をついた。これを指摘する野党議員もいない。残念なことだ。

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「GDPの38%」低調な政府支出

 昨年の経済成長率は、なぜこれほど低いのだろうか。韓国銀行の統計によると、昨年の政府支出はわずか1.3%増にすぎない。2000年以降で最も低い値だ。2000年に政府支出増加率(0.7%)が低かった理由は、当時は民間消費が9.3%も増加するほど過熱する様相を示していたためだ。民間消費が増えれば政府支出を減らし、民間消費が減れば政府支出を増やすのが財政運用の基本だ。しかし、昨年の民間消費増加率は1.8%に過ぎなかった。政府支出の増加率はさらに大幅に減らしたため、内需を悪化させ、結果的に経済成長率を下げた。

 根本的には、国はプレーヤーというより審判だ。すなわち、「ゴールを決める審判」だ。国は公正な審判ではなく、公正な審判になってもならない。国は財源をそのまま〇分の1に分けて与える存在ではないからだ。政治的な立場と選択によって、財源を不均等に分配する。不均等に財源を分配する「ゴールを決める審判」が、誰のゴールポストにゴールを決めるのかによって、試合の勝敗が相当部分が左右される。市場というサッカーの試合で「ゴールを決める審判」が相手側のゴールポストにゴールを決めれば、自分が勝つことができる。「ゴールを決める審判」の意志によって、自分が金持ちになったり貧乏になったりもする。

 整理してみよう。一つ目、韓国の世帯は平均で600万ウォン以上を国から現金を支援されている。もし韓国の世帯が昨年は600万ウォンを受け取ることができなかったとすれば、予算構造により多くの関心を持つ必要がある。二つ目に、国は現金支給をするだけではなく、サービス提供の規模のほうがはるかに大きい。三つ目に、政府支出の規模自体が内需経済に占める効果が非常に大きい。国が特に予算の恩恵を与えなくても、購買主体として果たさなければならない役割も、経済成長率の大きな部分を占める。四つ目に、市場のプレーヤーだけでなく、規制と政策を通じて市場を規律する審判の役割も果たす。

 このように重要な国の支出額と政策を左右する「見えない足」は、いったい誰なのだろうか。財政学の教科書には、鉄の三角形が国の財源配分を決めるという。鉄の三角形は、官僚・政治家・利益集団だ。キム・イングク神父は「政府・財界・官界・学界・メディアの五角同盟」に言及した。「五角同盟はいかなる衝撃にも動じない鉄の城塞だったのに対し、憐憫を元に一つになる愚者の連帯は、涙が出るほどあまりにも弱々しかった」と嘆いた。

 韓国の政府支出規模(国内総生産の38%)は、OECD加盟国と比較すれば「雀の涙」だ。GDPの規模が韓国よりはるかに大きい日本と米国の政府支出規模は約45%だ。ドイツは51%、フランスは何と59%だ。GDPの約50%前後を政府が支出することが、OECD加盟国の一般的な姿だ。今でも政府の役割は重要だが、これからはさらに重要になりうるということだ。

イ・サンミン|「国の暮らし研究所」首席研究委員
中央政府と地方自治体の予算書、決算書執行の内訳を毎日更新して分析するタイピング労働者。著書は『経済ニュースはそんなに難しい?』など。(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1130631.html韓国語原文入力:2024-03-03 09:40
訳M.S

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