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農食品専門ショッピングモール「農協モール新鮮プラス」は今月末までイベントを行い、キムチづくりに欠かせない食材を最大50%までセール価格で販売する。写真は1日、ソウルのある大型マートに陳列された大根/聯合ニュース

　「スーパーで買い物していると、買い物かごにいくつか入れただけで、10万ウォンや20万ウォン（約1万1250円～2万2500円）は超えてしまいます。4歳の娘が大好きなリンゴはやむを得ず4つを2万ウォンで買いますが、その代わり、おかずの種類を大幅に減らし、私と夫はカフェでアメリカーノを買う代わりに、会社の湯沸室のコーヒーを飲んでいます」（36歳のNさん・ソウル龍山）

　韓国の先月の消費者物価は1カ月前より3.8%上昇した。前月より上げ幅が大きくなった。生鮮食品の物価はこれより上昇幅がはるかに大きい。10%を大きく上回る。消費者が肌で感じる物価が4カ月連続で急騰し、政府も対応に追われている。

■ 上昇幅が大きくなった消費者物価

　統計庁が2日発表した「2023年10月消費者物価動向」によると、先月の消費者物価の上昇率は3.8%。前月の上昇幅（3.7%）より0.1ポイント高くなった。今年2月（4.2%）以来7カ月ぶりに最も高い上昇率だ。物価上昇率は昨年7月（6.3%）にピークを迎えてから、今年7月には2.3%まで下がったが、再び3カ月連続で上昇幅が大きくなっている。韓国政府は当初、今年第4四半期（10～12月）に入って物価上昇幅が鈍化すると見通した。

　政府の予想とは異なり、物価の上昇幅が大きくなっているのは、農産物価格が高騰しているからだ。先月の農産物価格の上昇率は13.5%に達する。29カ月（2021年5月14.9%）ぶりの最大幅だ。企画財政部のチャン・ボヒョン物価政策課長は「今年は異常低温で露地および暖房施設のないビニールハウスで育てる野菜類が冷害を受け、出荷が遅れた」と説明した。石油類価格が前年に比べて下落幅が少なくなったことも、物価上昇率を高めたもう一つの原因だ。石油類製品価格は9月には前年同月に比べた下落幅が4.9%にとどまり、10月の下落幅は1.3%に止まった。8月から高騰し始めた国際原油価格が時差を置いてガソリン・軽油などの国内販売価格に反映されているからだ。

　韓国銀行のキム・ウン副総裁補は「イスラエルとハマスの戦争の展開とそれにともなう原油価格の推移、国内外の景気の流れなどと関連し、物価をめぐる不確実性が一層高まっている。今後の物価の流れは8月の見通しを上回るものと予想される」と述べた。

■ 肌で感じる物価高騰

　「食品関連物価」の上昇幅は急騰している。消費者物価指数の構成品目（458品目）のうち、消費者が市場やスーパーなどで主に購入する品目（55品目）だけを選んで作成する生鮮食品指数は、1年前に比べて12.1%上昇。消費者物価上昇率の約3倍だ。生鮮食品物価は7月は1.3%、8月は5.6%、9月は6.4%、10月は12.1%と、上昇幅が急激に大きくなった。農水産物中心に価格が大幅に上昇したことによるものだ。8月から3カ月連続で消費者物価の上昇幅が生鮮食品物価の上昇幅を上回っている。

　尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領がここのところ暮らしの問題を強調している中、生鮮食品を中心に物価高騰傾向が続き、政府も対応に追われている。チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官は、この日政府ソウル庁舎で開かれた非常経済長官会議兼物価関係長官会議で、「全ての部と処（省庁）で物価安定を最優先課題にする汎部処特別物価安定体系を直ちに稼動する」と述べた。

　ひとまずキムジャン（長い冬に備え、春先まで食べるキムチを大量に漬けること）シーズンが近いため、政府は過去最大規模の計245億ウォン（約27億6千万円）を投入し、白菜や大根など14種のキムジャンの材料のうち割引の品目と割引幅を拡大することにした。バナナ、マンゴー、全脂・脱脂粉ミルク、バター、チーズ、ココアなど8つの輸入果物と食品の原料に対する関税割当も新たに適用する。

　シンヨン証券リサーチセンター長のキム・ハッキュン氏は「深刻な景気後退でなければ、物価の下落にはかなり時間がかかる見通し」だとし、「輸出指標と景気先行指数などを見る限り、韓国経済は上向きになる可能性があり、（物価上昇率は）2%台前半まで安定的に下がらず、硬直的に動くものとみられる」と語った。