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中国の不動産、米国の高金利…影響受ける韓国経済

登録:2023-08-22 08:05 修正:2023-08-22 08:20
12日、中国北京の国貿界隈を住民が歩いている=北京/ロイター・聯合ニュース

 「中国経済(国内総生産・GDP)に占める建設・不動産業の比率は30%に達します。不動産発の景気低迷で中国国内の需要が急減すれば、韓国の成長率も最大0.3ポイント下がる可能性があります」

 中国の事情に詳しいある証券会社のアナリストは20日、ハンギョレの電話取材に対してこのように強く述べた。「中国の不動産発の危機説に過剰反応する必要はない」とか「不動産問題は中国の内部事情に過ぎない」とする韓国政府の見解は大きく的が外れているということだ。このアナリストは「対中国輸出は中間財中心であるため中国の投資や消費の悪化が韓国の輸出に与える波及効果は小さい、などというのは『遠い昔』の話」だと断言した。

 「冷たい中国」と「熱い米国」が韓国経済を両側から押さえつけている。中国の不動産発の金融不安、景気の沈滞が韓国の輸出不振とウォンの価値の低下を招くとともに、米国発の高金利の長期化見通しまで広がっているからだ。何よりも、このような対外環境の悪化に対応するための財政・通貨などのマクロ政策の身動きの幅まで非常に狭まっているため、懸念は大きい。

 ドル相場は中国の不動産開発企業「碧桂園(カントリーガーデン)」の利払い不履行が発生した7日以来、8取引日ぶりに約30ウォン(2.5%・終値)上昇。KOSPI(18日終値2504.5)も6営業日連続で下落し、2500が迫っている。

 中国の不動産危機は金融市場の不安にとどまらず、輸出・成長率の停滞の懸念まであおることで、「上半期低迷、下半期回復」とみられていた韓国経済の成長を脅かしている。中国の投資・消費需要が下火になれば、韓国からの半導体、建設機械、化学、家電製品の輸入量も一斉に縮小する恐れがあるからだ。

 ハッシュドオープンリサーチのキム・ヨンボム代表(元企画財政部次官)は「新型コロナウイルス封鎖が解除された後も2年間も抑えつけられていた中国の消費が依然として低迷しているのは、並大抵の深刻さではない」とし、「いちばんの投資資産だった不動産がめちゃくちゃになっていることで、家計と企業が共にお金を使わない『バランスシート不況』の兆候が明確に表れている」と診断する。これは、不動産デレバレッジング(負債縮小)の影響で中国経済に長期不況の影がさしているということを意味する。JPモルガン・チェース、バークレイズなどのグローバル投資銀行が、中国の今年の成長見通しを中国政府の目標値である5%台より低い4%台に続々と下方修正している理由はここにある。

 急激に上昇している米国の金利は、韓国経済にとって泣き面にハチだ。韓国銀行の資料によれば、グローバル市場金利の基準となる米国債10年物の利回りは、今年初めの3.752%(1月3日現在)から今月18日には4.251%へと0.499ポイントも上昇している。国際金融センターのユン・イング部長は「米国の景気が思ったより強固に維持されていることで、物価上昇の勢いも簡単にはおさまらないだろうという期待が長期金利に反映されたもの」と語った。

 グローバル市場金利の急騰は、海外資産を保有する国内企業の損失拡大はもちろん、企業と家計の資金調達コスト上昇を招くため、投資や消費の低迷として現れる。過度な債務を抱える家計や企業の不良化リスクも拡大しうる。米国の好況が低成長と過度な負債という韓国経済の弱点を脅かすということだ。

 米国で進められている「中立金利」(物価に影響を与えない均衡金利)の引き上げ議論も負担となる。中立金利引き上げの動きは、米国の通貨緊縮がさらに強まり、また長期化しうることを示すシグナルだ。市場では、今月24~26日(現地時間)に予定されている「ジャクソンホール会議」(米国の通貨当局者と学界の専門家の会議)で中立金利の引き上げ議論が本格化するとみている。

チュ・ギョンホ副首相兼企画財政部長官(中央)が20日、ソウル中区の銀行連合会館で行われたマクロ経済・金融懸案懇談会で、最近の経済・金融懸案について議論している=企画財政部提供//ハンギョレ新聞社

 国外発の不安要素がある一方で、韓国政府が取れる通貨・財政などのマクロ政策の身動きの幅は狭い。まず通貨政策は、家計債務が再び増えているとともに、韓米の金利格差が史上最大であるという状況にあっては、景気浮揚のための政策金利の引き下げは容易にはなしえない選択だ。いっぽう財政政策は、最悪の税収不足に加え、政府の強固な緊縮基調に足を引っ張られているのが実情だ。政府は補正予算の編成も行わず、来年予算も今年より3%ほど増やすにとどめる方針だ。

 政府が国外発のリスクを軽視しているのも、このような事情と無関係ではない。企財部の幹部は「中国の不動産開発企業の債務不履行は中国不動産市場内部の問題だ。システムリスクなどへと拡大する可能性は低い」、「韓国の対中輸出が減っていることも、デリスキング(中国への依存度を弱めることによるリスク低減)の面から見れば悪いことばかりではない」と語った。

 漢陽大学のハ・ジュンギョン教授(経済学)は、「対外リスクが拡大するにつれ、低成長が固定化し、不平等はひどくなるという悪循環が起きる恐れがある。財政運用の変化が必要だ」と述べた。

パク・チョンオ、アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1105042.html韓国語原文入力:2023-08-21 05:00
訳D.K

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