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韓国には「強欲インフレ」がないという韓銀…「物価上昇は輸入物価の影響」

登録:2023-08-01 23:33 修正:2023-08-02 09:00
「企業利潤の物価への影響、欧米より小さい」
ソウル市内の地下鉄駅の改札口/聯合ニュース

 昨年の韓国の物価上昇の要因を分解してみると、企業による価格引き上げや利益確保が及ぼした影響は米国や欧州などに比べて小さい。このような分析が発表された。韓国では企業が製品の販売価格を過度に引き上げて物価上昇を招く、いわゆる「グリードフレーション(greedflation)」はみられなかったということだ。

 韓国銀行は1日、ウェブサイトのブログに掲載した「企業利潤とインフレ:主要国との比較」と題する文章で「韓国の場合、昨年の物価上昇に対する企業利潤の影響は比較的小さい」と指摘した。韓銀は、消費者物価と似たような流れを示す「民間消費支出デフレーター」(名目民間消費支出を実質民間消費支出で割った値)の上昇率に対する労働者の賃金(被雇用者報酬)、企業の利潤(営業余剰)、政府の収入(税収)および輸入物価の影響度を求め、企業の利益増加が実際の物価上昇圧力として作用したかを調べた。

 その結果、昨年の韓国の民間消費支出デフレーターの上昇率4.4%(対前年比)に対する企業利潤の影響度は-0.2ポイントと測定された。一方、輸入物価の影響度は4.4ポイントで最も大きく、労働者の賃金の影響度は0.0ポイント、政府の収入は0.2ポイントにとどまった。

 これは主要国とは対照的だ。昨年の米国の民間消費支出デフレーターの上昇率(6.3%)に対する企業利潤の影響度は3.7ポイントだった。国際通貨基金(IMF)は最近発表した報告書で、ユーロ地域(ユーロ使用20カ国)もやはり昨年第1四半期~今年第1四半期の民間消費支出デフレーター上昇率に対する企業利潤の影響度はほぼ半分に達するとして「グリードフレーション」を報告している。

 韓銀は「韓国は輸入物価の影響が大きく現れており、ユーロ地域や米国とは異なり営業余剰の影響は小さいと分析された」とし「ユーロ地域や米国に比べてグローバルサプライチェーンの支障、ウクライナ戦争などの影響が小さいため、需給不均衡にともなう企業の値上げ幅が相対的に大きくなかったことも、ある程度影響を及ぼしたものとみられる」と説明した。

 韓銀が分析した企業利潤には、昨年の電気料金凍結で莫大な損失を被った韓国電力公社の実績も含まれている。韓銀は「昨年の原油価格および天然ガス価格の急騰にともなう原価上昇の負担が電気・ガス料金にあまり反映されなかったため、関係する公企業は大幅な赤字を記録したが、全般的なインフレの進行の抑制にある程度寄与した」と評価した。

 韓銀はまた、電気・ガス・水道業を除いても、昨年の物価上昇に企業利潤が及ぼした影響は欧州や米国より大幅に小さいと推定した。特に政府による公共料金凍結などの物価安定政策、家計と企業の過度な賃金および商品価格引き上げの自制などの経済主体による痛みの分担が、輸入物価急騰にもかかわらず国内の物価が大幅に跳ね上がるのを防いだ要因だったと評価した。

パク・チョンオ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1102588.html韓国語原文入力:2023-08-01 17:43
訳D.K

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