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「核には核を」強調した北朝鮮、「先制打撃の可能性」まで言及

登録:2022-11-21 06:36 修正:2022-11-21 06:51
「強対強の悪循環」に陥った朝鮮半島 
金正恩総書記、ICBM発射した日、強硬発言 
米国、戦略爆撃機の再展開と安保理召集で対応
18日、北朝鮮の平壌国際飛行場(順安飛行場)から新型大陸間弾道ミサイル「火星17型」が発射されている様子/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党総書記兼国務委員長が、新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」の発射実験当日の18日、「核には核で、真っ向対決には真っ向対決で応える」と述べた。尹錫悦(ユン・ソクヨル) 大統領も同日、「強力な対北朝鮮制裁を進める」と述べ、朝鮮半島が緊張の泥沼に陥っている。

 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は、「金正恩労働党総書記兼国務委員長は、平壌(ピョンヤン)国際飛行場(順安飛行場)で行われた『火星17型』の発射実験を現地指導し、『敵の侵略戦争演習の狂気』に対する超強硬の報復の意志を明確に示さなければならない。核には核で、真っ向対決には真っ向対決で応える」と強調した」と、19日付で報じた。北朝鮮は18日、平壌順安(スナン)一帯から東海(トンヘ)上に火星17型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。

 特に金総書記は、「米帝国主義者が同盟国に対する『拡大抑止力の提供の強化』と戦争演習にこだわり、朝鮮半島と周辺地域で軍事的虚勢を張れば張るほど、我々の軍事的対応はさらに攻勢的に変わるだろう」とし、「核戦略兵器を絶えず拡大強化していくことに向けた党の国防建設戦略を改めて強調した」と、同紙は付け加えた。

 「労働新聞」は20日には先制打撃の可能性にも言及した。同紙は1面に掲載した「朝鮮労働党の厳粛な宣言」と題した政論で、「この惑星で最強の大陸間弾道ミサイル保有国、この言葉の重みは実に巨大だ」とし、「それは核先制打撃権が米国の独占物ではないことを、我々が米国の核覇権に対抗できる実質的な力を備えた名実共に核大国であることを実証する呼称である」と主張した。

 韓米も直ちに対応した。尹錫悦大統領は18日、北朝鮮の「火星17型」発射直後、国家安全保障会議(NSC)常任委に「米国および国際社会とともに国連安全保障理事会の対応を含む強力な対北朝鮮糾弾と制裁を進めるよう」指示した。米国は19日、B1B戦略爆撃機を動員して韓米、米日共同空中訓練を行ったのに続き、21日(現地時間)に国連安保理会議を開くことにした。安保理公開会議では韓国も表決権はないが、関係国として出席し、北朝鮮糾弾メッセージを出す予定だ。韓国政府は先月14日、2017年12月以来初めてとなる対北朝鮮独自制裁という象徴的な措置を取り、北朝鮮の核・ミサイル開発などに関与した個人15人と機関16機関を制裁対象に指定した。

 しかし、国連安保理の追加制裁は朝鮮半島の緊張を高めるだけにとどまる可能性が少なくない。北朝鮮に対する追加制裁は、米国と対立が深い中国、ロシアの反対で通過する可能性が極めて低い。3日、北朝鮮が火星17型の発射実験を行った翌日にも安保理会議が招集されたが、中ロは反対し法的拘束力のない議長声明さえ出せなかった。中国の習近平国家主席は14日、米中首脳会談の際、北朝鮮の核問題に関する中国の行動を促す米国のジョー・バイデン大統領に「北朝鮮の合理的な懸念に対するバランスの取れた解決を堅持しなければならない」と述べた。

 専門家らは情勢変化のためには「悪循環」を断ち切らなければならないと指摘する。金総書記は労働新聞で「安保環境を改善するためには賢明な選択を再考せざるを得ないよう、より一層明白な行動を示す必要性」があると述べた。「賢明な選択」を対話の前提に、「敵視政策と核脅威の清算」を交渉の目標として提示したともとれる発言だ。

 ムン・ジャンリョル元国防大学教授は「朝鮮半島の緊張が緩和されず、維持・強化される状況が続き、情勢の疲労度とともに払わなければならない費用も高まっている」とし、「北朝鮮の脅威を名分に韓米日三角安保協力が急流に乗り、朝鮮半島が米中戦略対決の舞台になる可能性も高まっている」と指摘した。また「泥沼に陥っている状況だが、これからでもその出口について考えなければならない」と強調した。

チョン・インファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/1068049.html韓国語原文入: 2022-11-20 23:32
訳H.J

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