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「米インフレ抑制法、現代・起亜自動車の競争力の致命的な弱点に」韓国の研究院が報告

登録:2022-09-30 06:04 修正:2023-02-15 07:19
産業研究院「米インフレ抑制法の国内産業への影響」 
「現代・起亜、米国市場の主導権争いで致命的な弱点生じる 
韓国バッテリー3社、北米地域の生産基盤拡大が早いため期待できる面も 
米財務省の指針作りの際、韓国企業の利益を貫徹するのが課題」
電気自動車「アイオニック5」=現代自動車提供//ハンギョレ新聞社

 「韓国の自動車産業に少なからぬ被害が予想される。二次電池(バッテリー)産業には短期的に困難は予想されるが、中長期的には機会要因として働く可能性がある」

 産業研究院(KIET)が29日、米国のインフレ抑制法(IRA)の発効による韓国産業への影響を自動車と二次電池を中心に分析した報告書を発表した。自動車産業にとっては「大きな悪材料」であり、二次電池産業には短期と中長期によって影響が分かれるという内容だ。IRAは電気自動車(EV)の税額控除条件を変えた部分が含まれており、8月16日に発効された。

 同研究院は、自動車産業が否定的な影響を受ける理由として「法発効直後から施行されている『北米地域での最終組立て』という条件を満たすのが難しく、すぐにはEVの税額控除を受けられなくなり、米国市場で競争企業に比べて相対的に価格競争力の面で劣勢に立たされることになった」という点を挙げた。現代自動車・起亜自動車はまだ米国内の生産基盤を備えておらず、米国で販売されるEVを国内から調達している。IRAでは、北米で最終的に組み立てられたものだけを対象にEV(プラグイン含む)1台当たり7500ドルの税額控除の恩恵を与えている。

 研究院は「法発効以前に契約したものは税制優遇を受けられるため、現代・起亜の出庫待機量を考えると、実際の被害は大きくないという見通しもあるが、被害の本質は1台当たり7500ドル相当の価格競争力の低下」だとし、「高成長の流れに乗っている米国のEV市場をめぐるグローバル完成車メーカー間の主導権争いで致命的な弱点が生じた」と分析した。

 現代・起亜は今年下半期から米国のアラバマ工場を改造または増設し、EV「GV70」の一部を現地生産する予定だが、その量は限られたものになると研究院は見通した。 また、ジョージア州に建設する30万台規模のEV専用工場は、2025年以降から稼動する予定だ。一方、フォード、GMのような米国企業はもちろん、北米地域ですでに工場を稼動しているドイツや日本などの競争会社の一部車種は税制優遇対象に含まれ、相対的に価格競争力の上昇効果を享受する見通しだ。

 産業研究院は「韓国の自動車産業に中長期的にどのような影響を及ぼすかについては、より慎重なアプローチが必要だ」と明らかにした。来年から始まり次第に強化されるバッテリー関連規定は、外国企業も条件を満たすのが難しいという分析だ。IRAは「北米での最終組立て」という基本要件に加え、来年からは「バッテリー鉱物調達比率」と「バッテリー部品調達比率」を守ることを条件に掲げている。バッテリー鉱物は、米国または米国と自由貿易協定(FTA)を結んだ国で40%(来年基準)を、バッテリー部品は北米地域で50%(来年基準)を調達した場合にのみ恩恵を与えるという内容だ。バッテリー鉱物の一つである黒鉛の場合、中国で生産される物量が80%を上回り、天然黒鉛の精製は全量が中国で行われている。 また、バッテリーの主要素材である陽極材と陰極材も世界市場における中国依存度が60%を超えている。

 韓国の二次電池産業については「世界的競争力を持っているが、リチウムや黒鉛のような主要鉱物の生産と精製が主に中国で行われ、IRAのバッテリー主要鉱物規定を満たすのが困難だろう」と予想された。ただし、パナソニックなどほかのバッテリーメーカーも主要鉱物を中国に依存しており、否定的な影響の程度は限られると見通した。LGエナジーソリューションをはじめとする韓国のバッテリー3社の北米地域生産基盤の拡大傾向は、規模とスピードの面でいずれも競争国を上回っており、中長期的にはIRAの恩恵を受ける可能性が高いと分析された。

 研究院のファン・ギョンイン副研究委員は、IRAによる自動車および二次電池産業の被害を最小化するための課題として「現代・起亜のジョージア州新工場の早期稼動、バッテリー条件に合致する二次電池サプライチェーンの構築」を挙げた。年内に予定されている米財務省のIRA後続指針(ガイドライン)作りの際、「両国間の実務交渉を通じて韓国の利益を最大限確保すること」も課題として残っている。

キム・ヨンベ先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/global/1060634.html韓国語原文入:2022-09-30 02:51
訳H.J

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